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とある美琴の他寮生活<アウトドア>最終章 その日、上条当麻と御坂美琴は死んだ。 これまた仲良く手をつないで帰っているときに。 上条勢力をつぶすために出てきた猟犬部隊(ハウンドドッグ)により、暗殺された。 天草式、旧アニューゼ部隊、必要悪の教会(ネセサリウス)、神の右席などと猟犬部隊が戦争を起こした。 まさに、科学と魔術が引き起こす第3次世界大戦。 これにより、ヴェネツィアなどの主要都市が破壊され、 学園都市第1学区が丸々消滅した。 結果、上条勢力の中心人物、上条当麻と御坂美琴がアレイスター=クロウリーの手で暗殺された。 そして、 妹達(シスターズ)全体の処分、および学園都市をイギリス清教必要悪の教会(ネセサリウス)の支配下に置くことで和解、終焉を迎えた。
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その直後、界刺の携帯が鳴り響く。 界刺は、携帯の画面に表示されている電話主を確認し、一息を吐いた後に電話に出る。 「もしもし」 「界刺さん!!今何処にいるんですか!!」 電話主は一厘であった。彼女は大声で界刺に問い掛ける。その声には焦りの色が十二分に含まれていた。 「何処って、公園だよ。この前、君とWデートした時のさ」 「な、何でそんな所に・・・」 「いやね、あのお嬢さんと待ち合わせしていたんだよ。この前貸した俺の服を返してもらうために」 「は、春咲先輩はそこにいるんですか!?」 一厘は一縷の希望を持って界刺に春咲が傍にいるか確認する。だが、 「いんや、いない。どうやら、風紀委員だったことが過激派の救済委員達にバレて、しかもとっ捕まったようだ。さっきメールで連絡が来たよ」 「えっ・・・?」 界刺のあっけらかんとした発言に言葉を失う一厘。 「え~と、なになに。『今から裏切り者の安田改め春咲桜を“制裁”しま~す!何と、彼女は風紀委員だったのです! この裏切りも同然な彼女に私達過激派は断固たる“制裁”を加えようと思います。もし、参加したければ、第6学区の○○まで。』って文面だな。 ご丁寧にとっ捕まったあのお嬢さんの写真付き。全く趣味が悪いねぇ」 「・・・・・・」 「あのお嬢さんが下手を打ったのか、過激派の連中が調べ上げたのか、どっちにしろバレるのが早-な。俺の予想より結構・・・」 「・・・してるんですか?」 「えっ?何?」 界刺の他人事のような口調に、何時の間にか声が低くなる一厘。その声色にははっきりとした憤怒の意思が込められていた。 「そこまでわかってて・・・あなたは一体何をしているんですか!!?何のためにあなたが『そこ』にいるんですか!!?」 「ちょっ!!大声で話すな!耳が遠くなるっつーの!」 「真面目に答えて下さい!!何故あなたは春咲先輩を助けに行かないんです!!? 今こうやって、あなたがボーっとしている間にも春咲先輩が危険な目に合ってるかもしれないんですよ!!?」 「・・・かもな」 「私なら、すぐに春咲先輩を助けに駆け付けます!!なのに、あなたは・・・!!『学園都市の人間を守りに行く』って言った言葉、あれは嘘だったんですか!!?」 一厘の頭の中は、今や界刺に対する憤怒や疑問しかなかった。電話の先にいる男が理解できない。何故平然としていられるのか。 確かに界刺得世という男は変わっていると常々考えていた。だが、ここまでの大馬鹿野郎だったとは、一厘は夢にも思わなかった。 人が危険な目に合っているのにも関わらず、助けようとしない薄情者。今の界刺に対する印象が、まさしくそうだった。 「嘘じゃないよ、リンリン」 なのに、電話の先にいる男の口調には一切の淀みが感じられなかった。まるで、一厘が激怒することを見越していたように。 「ただ、俺にとって学園都市の人間を守るってのは、『シンボル』が・・・正確には真刺の奴が唱えた信念に基づいているってだけの話なんだよ」 「『シンボル』の信念?」 「そう。『高位能力者が責任と自覚を持って学園都市内の人間を守る手本となる』という信念さ」 「だったら、尚更です!!何であなたはその信念に基づいて、春咲先輩を救おうとしないんですか!?」 一厘は、いよいよわけがわからなくなってくる。界刺は『シンボル』の信念に沿って学園都市の人間を守ると言っている。 ならば、何故春咲を救おうとしないのか?『高位能力者が責任と自覚を持って学園都市内の人間を守る手本となる』というのなら、尚更に。 「君は、あのお嬢さんを“今”助けることが正しいと思うのかい?」 だから、界刺の逆質問をすぐには理解できなかった。 「はっ?・・・た、正しいに決まっているじゃないですか!!春咲先輩が危ない目に合っているかもしれないのに、何故それがいけないんですか!?」 「それは風紀委員として?それとも一厘鈴音としてかい?」 「どっちもです!!私自身として!そして、風紀委員として!!『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』という私達風紀委員の信念に懸けて!!」 『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』。それは風紀委員の心得の1つであり、それ自体がスローガンとなっている在り方。 一厘はこの信念を背負うことに誇りを持っていた。それは、風紀委員一厘鈴音という少女の行動指針にもなっていた。 「『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』か・・・。いい言葉だね」 「いい加減はぐらかさないで下さい!!何故あなたは・・・」 「なら、ハッキリ言わせてもらうよ、リンちゃん。君があのお嬢さんを“今”助けに行くことは・・・『正しくない』!!」 「!!!」 界刺は断言する。一厘が一厘鈴音自身として、そして風紀委員として下した“春咲桜を今すぐ助けに行く”という判断が『間違っている』と。 「・・・ど、どういうこと・・・」 「さっきの質問への返答がまだだったね。え~と、『シンボル』の一員として何故助けないのか・・・だったかな。それなら、話は簡単だ。 “今”助けに行ったら、春咲桜という少女に責任と自覚を持たすことができないからだ」 「えっ・・・?」 「まぁ、これは俺の考えだから、君がどうしてもあのお嬢さんをすぐに助けに行くってんなら、俺にはそれを止める権利は無い。 場所は今さっき教えたよね。行きたければ行ってくるといい。行って、助けて・・・その結果として、君があのお嬢さんの『何を』守れるのか・・・楽しみにしているよ。それじゃ」 そうして、界刺は電話を切った。それで話は終わりとでも言わんばかりに。 一厘は、呆然としていた。もう通話が切れているのに携帯を耳元から離さない。 「(わ、私は『間違った』ことなんか言っていない!!『正しいこと』を言った筈!!春咲先輩が危険な目に合うのを黙って見過ごせるわけない!!風紀委員として!!私自身にとっても!!)」 人が危険な目に合っているのに助けないわけがない。そんな光景を見たなら、聞いたなら、知ったなら躊躇無く助ける。それが一厘鈴音という少女の『正しいこと』。 「(な、なのに!!なのに!!!何であの人はあんなことを言うの!?何で『正しくない』って言うの!?何で・・・どうして・・・)」 一厘の頭の中はぐっちゃぐちゃになっていた。そのために、自分がヨロヨロと歩いていたことにも気が付かない。 ズタッ!! ゴンッ!! 「キャッ!!痛~っ・・・」 どこかで躓いたのか転倒してしまい、机の角に頭をぶつけてしまう一厘。ぶつけた痛みが一厘を襲う。 数十秒後、一厘は立ち上がらないまま地べたに座り、背中をぶつけた机にもたれ掛けていた。 「(もう・・・何よ!!何なのよ!!ワケわかんない!!何で私がこんな思いをしないといけないの!?何で“私”をあんな男に否定されないといけないの!?)」 半ば自暴自棄になりかけている一厘。何が『正しく』て、何が『間違っている』のか、その判断が今の彼女にはできない。 「(私は『正しい』!!あの男の方が『間違っている』!!そうよ、今からすぐに春咲先輩を助けに行って・・・私が『正しい』ってことを証明してやる!!)」 一厘はよろめきながらも何とか立ち上がる。今この瞬間にも春咲がケガを負わされているかもしれない。そんな先輩の姿を絶対に見たくない。 一厘はすぐに支部の戸締りに掛かる。数分後、後は消灯し、戸締りをし、支部を出るだけとなった。 「(そうよ・・・そうよ!!あんな男を信じたのがそもそもの間違いだった!!私が最初から春咲先輩に付いていたら、こんなことにはなってなかった!! 見てなさい・・・バカ界刺!!あなたが『間違っている』ってことを・・・私が『正しい』ってことを証明してあげ・・・)」 『行って、助けて・・・その結果として、君があのお嬢さんの『何を』守れるのか・・・楽しみにしているよ』 「!!!」 だが、そんな彼女だからこそ、他人を人一倍気遣う心優しい彼女だからこそ、気が付いてしまった・・・それは矛盾。 『“今”助けに行ったら、春咲桜という少女に責任と自覚を持たすことができないからだ』 本来全く関係無い界刺得世が、自分の生活を削ってまで何のために、それこそ救済委員になってまで何故春咲桜の傍にいたのか。 『風紀委員の皆は・・・優しい。でも、誰1人だって私の本当の気持ちに気が付かない!!気が付いてくれない!! 「大丈夫だよ」って。「レベルなんて関係無い」ってそればかり。大丈夫なわけ無いでしょ!!関係無いわけないでしょ!!! そんな・・・こんな私に気を使ってくれる皆が・・・とてつもなく煩わしかった!!その気配りが・・・私だけが無力だと証明しているかのようで!!』 春咲桜が、何故救済委員になったのか。何故自分達風紀委員に悩みを打ち明けてくれなかったのか。 『(私は「正しい」!!あの男の方が「間違っている」!!そうよ、今からすぐに春咲先輩を助けに行って・・・私が「正しい」ってことを証明してやる!!)』 それなのに、一厘鈴音は自分の『正しさ』を証明するために春咲を助けに行くと心の中で決めた。決めてしまった。 それは、嘘偽りの無い一厘鈴音という少女の本音。春咲桜というレベルの低い少女―弱者―に対して、一厘鈴音というレベルの高い少女―強者―が抱いた・・・差別的な感情。 「ハハハ。・・・ハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」 自分の心中に潜んでいたその感情を自覚した瞬間、その場に座り込んで高々に笑い声を挙げる一厘。その目には・・・涙が溢れていた。 「ハハハハハッッッ!!!何よ!何なのよ!!この気持ちは!!この感情は!!!」 大声で笑いながら、涙を流しながら、顔をくしゃくしゃにし、手で顔を覆う。 「馬鹿だ!!私は救いようが無い大馬鹿だ!!!何よ・・・春咲先輩のことを真剣に考えていなかったのは、私の方じゃない!!!」 泣き声が混じるその言葉は・・・春咲に対する懺悔か。 「私は自分の『正しさ』を証明するために先輩を助けにいこうとした!!何の言い訳もできない、それが私の本音だった!!! 何でよ・・・何でこんな感情が私の中にあるのよ!!!私は・・・ただ先輩のことが心配だっただけ・・・だけだった筈なのに!!!」 遂には顔を地面につき、うずくまってしまう。 「・・・あの人の言う通り、私が『間違っていた』!!私は『正しくなかった』!!!こんな、こんな私に春咲先輩を救う資格なんて無い!!!私は・・・私は風紀委員失格だ・・・!!!」 『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』。それが、一厘鈴音の支えだった。その支えが今、脆く崩れようとしていた。 「こんな、こんなものを!!風紀委員の腕章なんて!!私に付ける資格は無い!!!・・・・・・こ・・・こん・・・こんなもの!!!」 自分の腕に付けていた風紀委員の腕章を乱暴に掴み、それを引き千切ろうとする一厘。彼女はいよいよもって、引き返せない地点にまでその足を進めようとしていた。 ピロロロロロロロ~ その間際に鳴り響く一厘の携帯電話。その着信音に気付いた一厘は、今まさに引き千切ろうとしていた腕章から手を離し、震える手で電話主を確認する。 そして、携帯の画面に表示された名前に瞠目し・・・3度の息を吐いた後、ようやく電話に出る。 「・・・・・・もしもし」 「あ。リンリン?まだ支部に残ってる?」 飄々としたその声の主は―界刺。 「・・・・・・何よ」 「いやね。ちょっと調べモンをして欲しいっていうか、ある場所の地図をメールして欲しいと思って。 その感じだと、まだ支部を飛び出ていないようだね。よかった、よかった」 先程の剣呑とした応酬など忘れてしまっているのか、その口調は何時もの彼そのものであった。 そんな界刺に、一厘は涙声になりながらも言葉を告げる。 「・・・あのね」 「うん?」 「あなたの言う通り、私は『間違っていた』。私は・・・自分の『正しさ』を証明するために春咲先輩を助けようとしていた」 「・・・」 「全然春咲先輩のためじゃ無かった。私は心の何処かで思っていた。“弱い”春咲先輩を“強い”私が守ってあげないと。支えてあげないとって。 でも、違った。本当は・・・先輩を見下していたんだ。先輩のために気を使っていたんじゃない。自分のために先輩を気遣っていたんだ!!」 「・・・・」 「ホント、こんな私がよく先輩を助けようって言えたもんだよね。心の底では自分より弱い人って見下していたのにね!!ホント・・・・・・私って最低だ」 一厘の懺悔の言葉は止まらない。それだけ、己が自覚した感情が衝撃だったのか。 その瞳から流れ落ちる涙は、一向に止む気配は無い。 「だから・・・私は先輩の所に行けない。助けに行く資格なんて無い!風紀委員である資格なんて無い!!だって・・・私は、こんなにも醜い人間なんだもの・・・!!!」 慟哭。もう、そうとしか形容ができない程一厘は悲鳴を挙げていた。 完全なる自己否定。今までの自分を形作ってきたものの崩壊。 このままでは、彼女は・・・ 「へ~、色々思い詰めてたんだね~。んふっ。ところでさ、さっきの地図の件を早くお願いしたいんだけど」 「・・・・・・へっ?」 全く・・・鈍感と言うべきか、肝が据わっていると言うべきか、界刺は事ここに至っても平然と己の依頼を口にしていた。何時もの胡散臭い笑い声付きで。 「だ・か・ら、さっき調べて欲しいっつった地図のメールの件だよ!全くこれだからリンリンは・・・」 「・・・あっ。ちょ、ちょっと待って下さい。今パソコンを再起動しますから」 「再起動?ってことは、本当に飛び出る寸前だったのか。ヒュ~、危ねぇ」 涙で目を腫らしながらも、界刺の依頼のためにパソコンを再起動する一厘。彼の役に立つことが、せめてもの償い。そう考えているのかもしれない。 「あ、そうだ。パソコンが立ち上がる前まで、ちょっとお話しようか、リンちゃん」 「・・・話・・・ですか?」 「うん。まどろっこしいのは抜きでいくよ。君の懺悔なんか、俺にとってはどうでもいい」 「!!!」 界刺の口から零れたのは・・・懺悔の否定。 「そんなことは俺にじゃ無く、あのお嬢さんに言うべきだろ。俺は君の下僕でも何でも無いんだから。そこんトコ、履き違えないでくれる?」 「・・・ご、ごめんなさい」 一厘は先の醜態を謝罪する。自分でも抑えられなかったあの懺悔に、界刺を巻き込んでしまった。それは、一厘の心を重くする。 「わかってくれたんならいいよ。それと・・・これは確認事項なんだけど」 「・・・何ですか?」 まだ、パソコンの再起動までには至らない。それに多少イラつきながら一厘は界刺の言葉を待つ。 「君はさ、あのお嬢さんを助けたくないの?」 「!!!!」 その一言は・・・一厘の胸を真正面から貫いた。 「わ・・・私には、そんな資格なんてありません!!こんな私に・・・。それに、あなただって言ったじゃないですか。“今”は先輩を助けないって!!」 「うん、言った。但し“今”はね。その後は話が別だ」 界刺は一厘の心の奥底を抉り取る。 「今回お嬢さんの身に降り掛かった火の粉は・・・言ってしまえば自業自得だ。 風紀委員と救済委員の掛け持ちをするのなら、いずれこうなることは目に見えていた。あのお嬢さんは、そのツケを現在進行中で払っているだけの話さ」 「・・・」 「現在進行中、つまり“今”お嬢さんを助けに行ったら、今までの俺の努力が全て水の泡になる。 これは、彼女の問題だ。彼女自身で解決しなきゃならないことだ。たとえ、どんな結果になろうとも。 なのに、誰かが助けたら・・・それこそあのお嬢さんは今度こそ悟るだろう。『自分が無力』だってな。それじゃあ・・・話にならない。 春咲桜に必要なのは・・・“救いの手”なんかじゃ無い。“自分で立ち上がる足”だ!!」 「!!!・・・“自分で立ち上がる足”?」 一厘の心に界刺の言葉が広がっていく。それは容赦の無い・・・温かな『何か』。 「そう。それが自分の行動に責任と自覚を持つってことだ。俺は守られる側にもそれを求める。でないと、不公平だからね。 だから、俺達に精々できるのは彼女が自分の足で立てるように補助してやるくらいだ。 だから、俺は救済委員として、そして俺自身の意思であのお嬢さんを補助していたんだ」 「でも・・・私には・・・そんな資格が・・・」 「・・・ったくメンドくさい奴だなあ、君は。助ける資格?風紀委員失格?んなことはどうでもいいんだよ! 確かに君はあのお嬢さんを知らず知らずの内に差別していたのかもしれない。自分のために利用していたのかもしれない。 だが、それがどうしたってんだ!!あのお嬢さんを救う理由にそんな付属品が必要なのかよ! これが最後の質問だ。5秒以内に答えろ!・・・お前は、春咲桜を救いたくはねぇのか!?答えろ、一厘鈴音!!」 “これが最後”。そう断言した界刺の問いに、一厘鈴音は・・・ 「た・・・助けたい。助けたい!!先輩を、春咲先輩を救いたい!!!」 その瞳から再び涙が零れ落ちる。顔をくしゃくしゃにしながらも、涙声に喉を詰まらせながらも、一厘は答えを放つ。これもまた・・・嘘偽りの無い一厘鈴音という少女の本音。 「・・・わかった。なら、俺の依頼が終わった後に、俺が居る公園へ来い。場所は言わなくてもわかってんだろ」 「えっ?」 「今はその付属品・・・助ける資格とか、風紀委員失格とか、そいつ等の判断は保留にしときなよ。 その判断を下すのは・・・今回のことが全部終わってからでも遅くはない」 「・・・」 「そういえば全然気にしていなかったけど、他の風紀委員は支部にいないの?何かその様子だと、君1人みたいだね」 「・・・色々あって、今は私1人です。ただ・・・」 「ただ?」 「鉄枷が誰かからの電話を受けて・・・飛び出して行っちゃったんです。『春咲先輩が・・・』って言葉は聞きました。鉄枷の顔が瞬く間に青ざめていくのも」 「・・・成程。よりにもよってお嬢さんが所属する支部に連絡して、お嬢さんを完膚なきまでに叩き潰すつもりだな。下手したら、他の支部にも連絡が回ってるかも」 「そ、そんな!それじゃあ春咲先輩は・・・」 「今はそんな後処理についてどうこう言っても仕方無ぇよ。・・・なるようにしかならないと思うぜ」 そう言葉を交わしている中、ようやくパソコンが再起動した。それを確認した一厘は、界刺が求めた地図の情報を調べにパソコンに向かい合ったのである。 そして10分後、界刺の依頼通りに所定の地図をメールし終えた一厘は、今度こそ支部を後にするために、戸締りの準備に入る。 「そうやって、公園(そこ)に留まっているということは、何らかの作戦みたいなものがあるってことですよね」 「まぁね。こんな事態もおおよそ想定していたし。規模が予想以上にデカいのが不安要素だが。後はお嬢さん次第だな。もし、“リタイア”しちまったら・・・それもしゃーねーよ」 「っっ・・・!!」 「人はいつか死ぬもんさ。それが早いか遅いか、それだけの違いだ。まぁ、自分から死にに行く奴にはなりたくないけど。 リンリン・・・悪いが俺はこういう人間だ。今までも、これからも・・・な。あのお嬢さんが意地を見せるってんなら、力を貸してやる。こんな俺でも・・・君はいいのかい?」 「・・・今の私には、あなたが『正しい』のか『間違っている』のかの判断は下せません。だから・・・今はあなたと共に行きます。 もし、春咲先輩があなたの言う“リタイア”になったら・・・その時は私もその咎を負い・・・」 「それがいけないんだよ、リンちゃん。それはそれ。これはこれ。あのお嬢さんの問題と君の問題を混合するな。 そんなことに囚われてちゃあ、本当に大事な時に間違った一歩を選択しちまうぜ?囚われるな・・・見誤るな・・・見極めろ・・・掴み取れ・・・!!」 『界刺は・・・容赦しないよ』 「(本当にこの人は・・・)」 一厘は今更ながら形製が自分へ放った忠告の真意を理解する。全くもって界刺は容赦しない。平然と自分の心をかき乱す。抉り取る。蹂躙する。 だが、だからこそ一厘は己の醜さに気付けたのかもしれない。己の感情と向かい合うことができたのかもしれない。 だから、一厘鈴音は界刺得世と共に行くと決めた。その判断に―何が『正しい』のか、何が『間違っている』のかわからない一厘が下した―後悔は・・・無い。 「・・・よし。戸締り完了。これからすぐにそちらに向かいます!!」 「あいよ。・・・本当はこんなことになる前に何とかしたかったが、仕方無ぇ。改めて何とかするしかねぇか」 支部を出る一厘。その足は駆け足。その足で風輪学園の校門をもうすぐ越える。 「リンリン!!」 「はい!!」 そんな彼女に界刺が声を掛ける。それは、あの公園で既に言ったこと。 「君の力を借りなきゃいけなくなったけど・・・準備はいいかい?」 それは、界刺なりの気遣いの言葉。“一厘が春咲を救う作戦に参加してもいい”。界刺は一厘にそう言っているのだ。 「もちろん、私だけじゃ無いですよね!?」 一厘はその言葉に含まれる真意を汲み取り、その上で・・・もう一度だけ界刺に甘える。 「そりゃそうだ。俺やリンちゃんだけでできることなんてたかが知れている。 これもお嬢さん次第だけど・・・もちろん、他の奴等にも協力してもらうつもりだよ。俺やリンリンにはできないことを・・・ね」 それに応える界刺。一厘は思う。これが人を信じるということなのか・・・と。これが人を信頼するということなのか・・・と。 そして、きっと界刺は信じている。信頼している。春咲が意地を見せることを。でなければ、「協力」なんて言葉は・・・きっとあの人の口からは出て来ない。 それがわかったから・・・一厘は叫ぶ。それ―自分に欠けていたモノ―を教えてくれた界刺に、今できる精一杯の感謝を込めて叫ぶ。 「わかりました!!春咲先輩を救えるならこの一厘鈴音の命、あなたに預けますよ!!!」 continue!!
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85. sm5728253 2009年01月02日 08 33 投稿 魔理沙とアリスとパチュリーと小悪魔で百合のお勉強 マイリストコメント: 思いの分だけ、おもい~☆ 第二期、4回目のランクイン☆ 投稿者コメント: パチェ『ああぁん・・・はぁん・・あ、あん』 こぁ「とゆう初夢を見たのですよ」 パチェ「何であえいでいるの!?」 こぁ「お着替えを手伝ってる最中ですね」 パチェ「?」 こぁ「ムラムラして、こう(わきわき)」 パチェ「・・・・・・」 こぁ「そろそろ着替えます?」 パチェ「いやー!!」 という恋のアバンチュール☆ タグロック:ゲーム・作者は健常者シリーズ・東方(カテゴリ)・東方超級者向けリンク 魔理沙×アリス と パチュリー と 小悪魔先生 百合のお勉強 ぱちぇ:・・・ぁああん、・・・んぁきゅ、 んっ・・・はん・・・あはぁ・・・ こぁ:むむっ!パチュリー様は まだ寝てるですか~ こぁ:・・・・・・・・・・・・ こぁ:パチュリー様~♪ お~きて~ま~す~か~? こぁ:ね~て、ま~す、ね~? こぁ:・・・・・・オッケーということですね~? ぱちぇ:・・・・はふぅ~ん、ふひゃぁ~ うう~ん・・・あっ・・・あん・・・・・・ ぱちぇ:・・・・・・魔理沙ぁ・・・やん、 そこじゃない・・・・・・あっ、ん・・・ そこ~・・・そこに入れてぇ・・・ ※作者注:魔理沙が本棚に 本を戻している夢です☆ こぁ: ふむ・・・目が覚める気配無しか・・・ こぁ:では、魅惑のイタズラタイム ゲット レディーゴーですね☆ こぁ:起きるまでがゲームです! こぁ:1秒経過ごとに、1cmずつ脱げてくぞ ゲーム☆ Game Start こぁ:グフフフフ☆ズーリズーリっと 0 cm脱ぎ☆ こぁ:ローブって、丈が長いから 楽しみが長☆時☆間 こぁ:え~、お気付きの方も おられるとは存じますが~ こぁ:魅惑のデルタフォース到達時刻は 一分後です☆ こぁ:あ!手がすべった! ぐへへへ、ワープ☆ こぁ:ぬ?アレ?? こぁ:くっ!ヒザか! こぁ:くそ!なめるな! 貴様如きに、我が野望が防げられるか! (ぐい!ぐい!) こぁ:(きゅぽん☆) こぁ:フーフーフー、しょ、勝利~ こぁ:え~もう少しで到達なので、 ここでアンケート こぁ:白?黒?赤?しましま? こぁ:私は、無色透明だと信じてます☆ (うひゃひゃひゃ) こぁ:みなさん、カウントダウンです こぁ:ゴー こぁ:ヨン こぁ:サン こぁ:ニー ぱちぇ:あみゅあぁぁぁぁ こぁ:あー、おはよう・・・ こぁ:う、う、う、う、 何でおいしい所で目が覚めるのですか~ こぁ:パチュリー様には 「エロス」というものが 理解出来ないのですか~? ぱちぇ:魔理沙に抱き付かれたら、 「え?もしかして私に気がある? キャッ☆ど~しよ~☆ ラブラブモード?」 ぱちぇ:って思うことはあるけど こぁ:パチュリー様、それは 「エロス」ではなく「恋」です ぱちぇ:つまり今の私は 「恋する乙女」ということね☆ こぁ: 乙女ロードまっしぐらですね☆ ぱちぇ: 女の子座りで、さらに乙女度アップ☆ (ぺたん☆) こぁ: すばらしい乙女です!パチュリー様! こぁ: もう、他のオカズなんていらない! こぁ:パチュリー様を見ながら、 パンを何枚だって食べれます☆ ぱちぇ:魔理沙は和食派だけど、 パンを食べてくれるかな? こぁ:大丈夫です! こぁ:パンがダメなら、 パチュリー様をお食べ☆ ぱちぇ:え?え? ぱちぇ:わたし、食べられちゃうの? こぁ: そう!まさに食材の無い女体盛り! こぁ:エロス! 閑話休題 魔理沙:よう!パチュリー ぱちぇ:あ!?魔理沙? アリス: おじゃましま~す☆ ぱちぇ:アリスもなの? こぁ:わたしが呼んだのです! ぱちぇ:? 魔理沙: で、用件はなあに?(抱き付き☆) アリス:わ! こぁ:そう! まさにソレですね! こぁ: 魔法使いの方々は、 非常識なのです☆ ぱちぇ:そうかな~? 魔理沙:そんなことないよね~ こぁ:その節操の無い、濃密な コミュニケーションとかですね☆ こぁ:わ、私なんか・・・(ハァハァ)、 直には触れずに・・・(ぐへへ)・・・ 匂いとか・・音とかを・・楽しんでるのに アリス: けど触ったり舐めたりした方が、 お互い気持ちいいじゃない(ペロ☆) ぱちぇ:だよね~☆ こぁ:くっ! ・・・しかし世の中には「じらし」 という高尚な理念があるのです! こぁ: 例えば、この胸のバンソウコウ こぁ: これが無いと、タダのアウト絵ですが、 こぁ: あると剥がす楽しみが生まれます。 こぁ:これが、 かの「天地開元経文」にも書かれている 「バンソウコウ プレイ」です こぁ:漢字で書くと 「比那名居 天子」 魔理沙:つまり人前で、やたらと いちゃついてるのは良くない ということか こぁ: そうです!分かってもらえましたか! こぁ: というわけで、私が先生になって、 常識を教えて差し上げようと 思い立ったわけです! アリス: 面白そうだし、教わってみようか? ぱちぇ:うん、そうね 魔理沙:よし!やってみよー☆ 1時間目 社会 こぁ:では、神社で おみくじを引く時どうしてるか? こぁ:実践して見てください 魔理沙&アリス: わたしたちは、 参拝に来た恋人どうしの役~☆ ぱちぇ:では私が巫女ね☆ 魔理沙:おみくじ下さ~い☆ ぱちぇ:はい、 大吉、中吉、小吉・・・と、 どれを買いますか? ぱちぇ: ・・・・・・一番売れてるのは大吉ですね 魔理沙:どれにしようかな~? アリス:だめよ魔理沙、 そのままでは買えないわ 魔理沙:え? アリス:わたしルール! アリス: おみくじを買う許可証として、 わたしにキスしなければ なりません! アリス:略して、キス占い~☆ ぱちぇ: むむ、鋭いところを突いて来るわね ぱちぇ: 自分ルールは乙女のステータス☆ 魔理沙:うん、じゃあいくよ 魔理沙:ちゅっ☆ アリス: あ☆だめよ~ 魔理沙~☆ アリス: ほっぺのキスは、 ウソキスだよ~ アリス: お口のキスが愛のキスだよ 魔理沙:あはは、ごめんごめん 魔理沙: アリスのほっぺが可愛すぎて、 恋々キスをしちゃったんだ☆ アリス:次はお口に・・・ね☆ 魔理沙:(おくちにKISS☆) アリス:えへへ、恋と愛のキス 両方してもらっちゃった☆ アリス:これぞ恋愛☆ 魔理沙:恋愛キス~☆(抱き付き☆) アリス:キャー☆やだど~しよう☆ こぁ:は~い、そこストップー! 魔理沙&アリス: え?何か、おかしかった? こぁ:はい☆ 一つだけ問題点がありました☆ ぱちぇ:店員とキスしてない! こぁ:そこも重要ですが、もう一つ こぁ: 売店前で長時間、いちゃついてると 順番待ちのお客様に迷惑です。 アリス:あ!そうか! こぁ:前振り省略で、 速攻でキスすればいいんです☆ 魔理沙:なるほど! 「百合は神速を尊ぶ」と言うしな 魔理沙: 流石は紅魔館No.1の常識人☆ こぁ:グフフフフッ☆ それでは実践スタート☆ アリス:魔理沙・・・・・・ 魔理沙:アリス・・・・・・ 魔理沙:ちゅっ! 魔理沙:パチュリー(ペロペロ) ぱちぇ:ハァハァ・・・ 魔理沙:おみくじ下さ~い! ぱちぇ: キスの分だけ、おまけします☆ こぁ:おみくじ購入大成功☆ こぁ: 皆さんも実践で試してみてね☆ 2時間目 英語 こぁ:うp主は英語が超苦手なので、 サッと終わります☆ こぁ:あいさつを御願いします☆ Marisa:Hi! Iam Marisa. チルノ訳:ハイ!魔理沙だぜ☆ Marisa:I would love you☆ and you? チルノ訳:私はお前が好きだー!お前は私を好きかー!? Aice:Yes☆I would love you, too thank you☆ チルノ訳:あなたの匂いを嗅ぐだけで、ハーハーしてしまいます☆はい!どう見ても病気です☆ありがとうございました! Patchouli:The young girl who is right in love☆ こぁ訳:正に百合天国☆ 3時間目 理科 こぁ:お花の育て方です こぁ: 今回は特別講師をお招きしました! こぁ:どうぞー☆ 幽香:ハァーイ、幽香様よ☆ 魔理沙&アリス&パチュリー: 御願いしま~す☆ 幽香:では、百合の華を 「育てて」みましょうか アリス:ふぇ? アリス:え!あっ!やぁ~ん アリス:ツタが絡まってくる~ 幽香: 大丈夫、わたしに身をゆだねて・・・ アリス:ああぁぁぁ・・・・・・ ※作者注: かなり濃い関係に発展しました☆ アリス:いろいろと 育てられちゃった・・・・・・ 幽香:百合の恋心が成長したわ☆ こぁ:・・・・・・百合の花を育てると 言っても、なんか違いますね~ こぁ:ほら~、女の子の花と言えば ・・・・・・ね☆ こぁ:あなたを成長させますか~☆ こぁ:わたしミツバチさ~ん☆ こぁ: お仕事はぁ~花の蜜を吸うこと☆ (チューチュー♪うふふうふふ☆) 幽香:・・・・・・・・・・・・ 幽香:オーケー、把握☆ ちゅど~ん☆ こぁ:うぁ痛タタタタタタッ こぁ:講師の方に 逃げられてしまいましたね~ 魔理沙:アリスという花を育てるなら、 私にも出来るぜ ぱちぇ:私も~☆ アリス:わたし育てられちゃうの? 魔理沙:そうだよアリス☆ 魔理沙:スキあり!(ぺちゃ) アリス:ひゃっ! 魔理沙:アリスを耳攻め~☆ アリス:ひゃーん☆ ぱちぇ:アリス・・・・・・ アリス:ふぇ? ぱちぇ: こちょこちょ攻撃~☆ (こちょこちょ☆) アリス: ひゃふぅ!みゃぁ~・・・やぁん 魔理沙:ね☆ア~リス☆ アリス:魔理沙ぁ~ 魔理沙:ちゅっ☆ (首筋敏感KISS☆) アリス:やぁ、首は弱いの~ こぁ:気持ち良さそうに 寝ちゃってますね~☆ こぁ: 満ち足りた表情が、ス・テ・キ☆ ぱちぇ: つまり愛で満たされたということね こぁ:常識を教え込むには 無理があるのでしょうか? ぱちぇ: 愛は常識で縛られないものよ こぁ:つまり魔法使いというのは、 こぁ: 愛という名の旋律を紡ぎ出す、 神秘の音色なんですね☆ ぱちぇ:ええ、正に 愛の女神の戯れね・・・・・・ The End ← →
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル とあるファミレス テーブルの上のグラスにはまだ半分ほど中身が残っている。が、上条も美琴も、もう一度ストローに口をつける勇気はない。 演技マジック、もしくは非日常マジックと言おうか、役柄を演じることによって普段の上条と美琴なら絶対にしない事をしてしまった。 我に返るとかなり恥ずかしく、穴があったら入りたい気分。 そして上条としては困ったことに、 (話題が無い……共通の話題となると、御坂妹とか第3次世界大戦、グレムリンの時とかの話し。こんなところできるかっ!つーか恋人同士の話題じゃねーだろ、困った) 対して美琴は (もうヤケよ、ヤケ。どーんと来い、つーの……あっ、黒子放ったままだった。黒子もひょっとしてナントカアイテムを使って、ああなった?) ヤケッパチな自己逃避、関係無くもないがこの場には関係ないことを考えていた。 (どーすんだよ?) 困って美琴を見る上条に (ふっ、早くなんか言いなさいよ) 自己逃避から開き直ってドーンと来いと構え上条を見る美琴。 内情を知らない店内の人々は見つめ合う二人、目で語り合える二人として見ている。 「すいません、このコーヒーもっと苦くなりませんか」 「そうですね、厨房で煮詰めて来ましょうか、少しお時間宜しいですか」 「できるだけ早くお願いします、砂糖を吐いて死にそうなんです」 「急須にお茶葉を目一杯詰め込んで淹れたお茶を頂けませんか、言い値で払いますんで」 「申し訳ありません、代金は要りません。サービスさせて頂きます」 「メニューに壁ありませんか?壁殴り代行に頼もうにも予約がいっぱいで追いつかないそうなんです」 「さすがに壁はメニューにございません、代わりに手打ちうどんの実演を急遽ご用意致しました、お試しになられては如何ですか」 「超甘いです」 店内のそこかしこでそんな会話がされていた。 漸く、上条が言葉を口に乗せる。 「美琴」 (また名前だけかよっ!) 「ナニ、当麻?」 (そういう私もナニってつけただけ……) 「これから、どーする?」 (……もっと気の利いたこと言えっ、つーのよ) 「当麻はどうしたいの?」 (ふん) (御坂に決めて貰おーと思ったのに!) 「どーすっかな、このまま美琴と一緒に居られるだけで幸せなんだ、俺は」 (くっ、そう来ますか……演技とわかってても、そんな事言われたら、まだドキッと来るわ) 「それじゃあさ……」 (うーん、でもこのまま間が持たないのもね、一旦外に出てぶらつくのも、いいかな?) 上手く話題が見つからなくても、腕を組んで歩けばそれらしく見える、と。 美琴は想像する。 腕を組み歩く二人。恥ずかしげに上条を見上げる美琴。その美琴に微笑みかける上条。そして優しく言葉を…… 頬が上気しそうになり、心臓の鼓動が早鐘を鳴らそうとする。 飽くまでも演技、演技だからこそ言葉を紡いで行けばその幻想は実現する、仮初めであっても手には入る。しかし、その言葉が中々出てきてくれない。 そんな美琴とは裏腹に、 (あっ、そーいや今日インデックス居ないんだったな、また小萌先生に呼ばれて……小萌先生の配慮だよな、奨学金が出た日ぐらい栄養あるもの食べなさいって……だが、ここは!) 「美琴、どーせだから此処で食べていかないか?」 「美琴も夕食まだなんだろ?俺が払うからさ」 (ア、アンタね!……って俺が払う?) 「ダメよ、私が払う」 (あーーーっ!私のバカっ、バカっ!つ、つい。それより、って提案すれば良かったのに……儚いのね幻想って) 「それこそ、ダメだ」 (心配すんな、今日の俺はファミレスの食事ぐらい、ふっインデックスの食費に較べたら屁でもねー!それより御坂に迷惑かけてんだ、これぐらいさせて下さい) 「私の方が(お金持ってるなんて言っちゃダメよね)余裕あるもの」 「カッコ良い俺で居させてくれよ」 素で微笑みかける上条。 (私の前に現れるアンタはいつもカッコ良いんじゃーーーっ!) 「あっ、カッコつけさせてくれよ、だったな(気障っぽくなっちまった)でもな美琴、払わせてくれないと上条さんが情けなさすぎます」 優しく語りかける上条。 想像したばかりの上条の姿に、 (あわわわわわわわわわわわわ) ぷしゅー、と湯気が噴きそうな美琴。 この幻想は消えてくれない。演技でなく上条は心より言ってくれいる。 「ダメ、か?」 「ダメじゃない」 店内では 「激辛麻婆豆腐お願いします」 「ゴーヤチャンプルー、ゴーヤ増量で」 「刺身定食、ワサビ山盛りで」 「超激辛カレーで」 やはり夕食時間なのか、そんなオーダーが入る声が聞こえてくる。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル
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目的 内容目次 目的 本と自分との関連を整理します。 収集した本を管理するため + 本に関連した知識の整理 + これまでたどって来た経験、関心の本による整理、分類 (ごく最近のものに限定) 内容目次 Library/医学 Library/医学/CBT・OSCE Library/医学/USMLE Library/医学/アンチエイジング Library/医学/カリキュラム Library/医学/医学的効率勉強法 Library/医学/国試 Library/医学/基礎医学 Library/医学/基礎医学/免疫学 Library/医学/基礎医学/微生物学・ウイルス学 Library/医学/基礎医学/法医学 Library/医学/基礎医学/生化学 Library/医学/基礎医学/生理学 Library/医学/基礎医学/病理学 Library/医学/基礎医学/発生学(発生生物学) Library/医学/基礎医学/組織学 Library/医学/基礎医学/薬理学 Library/医学/基礎医学/解剖学・解剖実習 Library/医学/疾患リスクファクターまとめ Library/医学/研修医 Library/医学/臨床 Library/医学/臨床/マイナー科 Library/医学/臨床/マイナー科/01_整形外科 Library/医学/臨床/マイナー科/02_眼科 Library/医学/臨床/マイナー科/03_耳鼻咽頭科 Library/医学/臨床/マイナー科/04_泌尿器 Library/医学/臨床/マイナー科/05_精神科 Library/医学/臨床/マイナー科/06_皮膚科 Library/医学/臨床/マイナー科/07_放射線科 Library/医学/臨床/内科・外科 Library/医学/臨床/内科・外科/00_総合診療・救急 Library/医学/臨床/内科・外科/01_腎 Library/医学/臨床/内科・外科/02_内分泌・代謝 Library/医学/臨床/内科・外科/03_血液 Library/医学/臨床/内科・外科/04_免疫・膠原病 Library/医学/臨床/内科・外科/05_感染症 Library/医学/臨床/内科・外科/06_呼吸器 Library/医学/臨床/内科・外科/07_循環器 Library/医学/臨床/内科・外科/08_消化器 Library/医学/臨床/内科・外科/09_肝胆膵 Library/医学/臨床/内科・外科/10_神経 Library/医学/臨床/外科全般・麻酔科 Library/医学/臨床/小児科 Library/医学/臨床/産婦人科 Library/医学/臨床/身体所見手技 Library/医学/自動化 Library/工学 Library/工学/コンピュータアーキテクチャ Library/工学/パターン認識:機械学習:データマイニング Library/工学/パターン認識:機械学習:データマイニング/推定 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/Algorithm-Library Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/C・C++ Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/Linux-OS・プログラミング Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/Python Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/P≠NP問題 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/R Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/セキュリティ Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/ソフトウェアツール集 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/データベース・データ構造・SQL Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/ネットワーク工学・プログラミング Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/ネットワーク工学・プログラミング/Note1_スループット Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/ネットワーク工学・プログラミング/V-Bates駆除記録 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/情報検索 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/数値計算 Library/工学/プログラミング・アルゴリズム/組み込みソフト開発 Library/工学/プロジェクトマネジメント・管理工学/Tools Library/工学/プロジェクトマネジメント・管理工学/数学的手法 Library/工学/プロジェクトマネジメント・管理工学・システム工学 Library/工学/信号処理 Library/工学/信号処理/Note_Image_Restoration Library/工学/信号処理/Note_KLT Library/工学/信号処理/Note_LinearAdaptiveFiltering Library/工学/信号処理/画像処理 Library/工学/光工学 Library/工学/制御工学 Library/工学/制御工学/Note1_古典制御理論 Library/工学/制御工学/Note2_ロバスト制御理論 Library/工学/制御工学/Note3_ディジタル制御理論 Library/工学/制御工学/Note4_現代制御理論 Library/工学/制御工学/Note5_非線形制御理論 Library/工学/学会Link集 Library/工学/情報理論 Library/工学/情報理論/気になる研究者一覧 Library/工学/情報理論/量子情報通信(コンピュータ・情報理論・アルゴリズム) Library/工学/機械工学 Library/工学/機械工学/伝熱工学 Library/工学/競馬予測_機械学習応用 Library/工学/計測工学 Library/工学/通信工学・アンテナ工学 Library/工学/電気回路 Library/工学/電気回路/電子工作 Library/工学/電気回路/電源回路設計 Library/数学 Library/数学/グラフ理論 Library/数学/ゲーム理論 Library/数学/不等式 Library/数学/代数/線形代数 Library/数学/代数/群環体 Library/数学/微分方程式 Library/数学/応用数学 Library/数学/数学基礎(集合・位相、論理学、微分積分) Library/数学/確率論 Library/数学/統計学 Library/数学/統計学/Note1_データの整理方法 Library/数学/統計学/Note2_確率論 Library/数学/統計学/Note3_確率分布の理解と乱数生成 Library/数学/統計学/Note4_推定と検定 Library/数学/統計学/Note5_ベイズ統計 Library/数学/統計学/Note6_時系列モデル・空間モデル Library/数学/統計学/Note7_統計的因果推論 Library/数学/統計学/Note8_多変量解析 Library/数学/解析学 Library/数学/逆問題・数理計画法・最適化 Library/料理 Library/料理/イタリアン Library/物理学 Library/物理学/カオス Library/物理学/力学 Library/物理学/天文学 Library/物理学/数理物理学 Library/物理学/気象学・地震学・惑星物理学 Library/物理学/流体力学 Library/物理学/熱・統計力学 Library/物理学/量子力学 Library/物理学/電磁気学 Library/社会 Library/社会/マネージメント Library/社会/交渉 Library/社会/人との相性 Library/社会/人の分類 Library/社会/働き方 Library/社会/医学部への道 Library/社会/医学部への道/センター試験倫理・政治経済 Library/社会/医学部への道/センター試験化学、2次化学 Library/社会/医学部への道/センター試験国語 Library/社会/医学部への道/センター試験数学、二次数学 Library/社会/医学部への道/センター試験物理、2次物理 Library/社会/医学部への道/センター試験英語、2次英語 Library/社会/大学教員 Library/社会/官僚 Library/社会/投資_Fund Library/社会/格差 Library/社会/歴史 Library/社会/生き方 Library/社会/組織構造 Library/社会/経営戦略・社長力? Library/社会/経済学 Library/語学 Library/語学/英語 Library/語学/英語/TOEFL Library/語学/英語/TOEIC(L・R) Library/語学/英語/TOEIC(S・W) Library/語学/英語/医学英語 Library/語学/英語/英検 Library/資格 Library/資格/SAT Library/資格/アクチュアリー Library/資格/弁理士 Library/資格/情報処理技術者 Library/資格/気象予報士 Library/資格/統計検定 Library/資格/船舶免許 Library/資格/電気通信主任技術者 Library/資格/1陸
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第2章 ③決断と信頼と… 「ただいまー」 上条は三日ぶりとなる我が家に足を踏み入れる。 すると同居もとい同棲している恋人の美琴が隣からおかえりと声を掛ける。 入院している三日間、美琴は学校がある時間以外は付きっ切りで上条の看病をしていた。 看病といっても腕のいいカエル顔の医者のおかげで別段不便はなかったのだが、美琴はとにかく上条の世話を焼きたがった。 それはもう上条と美琴を二人きりにさせないために 上条の見舞いという名の監視に常に来ていた黒子が顔ドラムするほど甲斐甲斐しいものだった。 そして美琴や黒子がいない間の時間、上条は基本的に打ち止めと遊んでいることが殆どだった。 打ち止めくらいの年頃の少女が何をして遊ぶのか上条は分からなかったが、やっていたのは所謂ママゴトだった。 一方通行も病院に顔を出していることが多かったので三人で登場人物を演じることになる。 一方通行がママゴトというのはどう考えても無理があったのだが、一方通行は基本的に人との接し方を知らない。 それ故にどうやって妹達に償えばいいのかも分からない。 それはとても寂しいことだと思う。 でも一方通行は少しずつだが自分を変えようと努力を続けていた。 それとママゴトに付き合うことは少し違うぞと上条は心の中で少しツッコミながらも 不器用な優しさを見せ始めた一方通行の変化を上条は好意的に捉えていた。 入院中、上条は一方通行と二人きりで話す機会が何回かあった。 一方通行はその能力ゆえに周りから疎まれ、過酷な実験を強いられる孤独な日々を送っていた。 今の上条は覚えていないが、それは昔の上条の過去に通じるものがあった。 その過去が一方通行がしてきたことの言い訳になるわけではない。 しかし一方通行も歪んだ学園都市の被害者の一人といえるかもしれなかった。 だから上条は一方通行が道に迷った時は導いてあげようと思っていた。 別に自分が一方通行より優れているからと考えたわけではない。 良い方向に向かって変わり始めた一方通行だが、その根本にあるものは未だ不安定だ。 自分が常に正しいとは思わないが一方通行の添え木になるくらいは出来るかもしれない。 だから退院した後も偶に会う約束を上条は一方通行と交わしたのだった。 そして無事に我が家に帰ってきた上条はというと何故か正座をさせられていた。 「あのー、美琴さん。 何故に上条さんは正座させられてるんでしょうか?」 「本当はもっと早く聞きたかったんだけど、あの石人形って超能力じゃないわよね?」 ギクッ 「でも当麻はまるで右手が最初から効くことが分かっているように、あの石人形に向かっていった。 さて問題です。 当麻君は何か美琴センセーに隠し事をしている、○か×か?」 「ば…」 上条がそう言い掛けると共に美琴の髪の毛の先に蒼い電撃が帯電する。 「ひぃっ」 「…冗談よ」 そう言うと、美琴は帯電していた電撃を収める。 「…でも隠し事はやめて。 確かにこの間は当麻を守りきることは出来なかったけど、それでも私は…」 上条が美琴の顔を見つめると、その瞳には涙が浮かんでいた。 美琴は上条が銃弾で倒れたのを自分のせいと責めていた。 美琴は電磁波によるレーダーで常に辺りを警戒しておくことが出来る。 しかしながらシェリーの接近に気付かずに上条を銃弾から救うことが出来なかった。 今回は偶々無事だったが当たり所が悪かった可能性を考えると、美琴は震えを止めることが出来なかった。 そして上条は立ち上がると、今も両腕を抱えて震える美琴のことを優しく抱きしめる。 美琴は強い、しかし上条のことが絡むと途端に弱くなる。 それは上条に何処か完全に依存している故なのだが、それは仕方ないと上条は思う。 あれだけの悪夢の中にいたのだ、自惚れではなく美琴にとって一番大事な存在である自分に何かあったら美琴は完全に壊れるだろう。 そして上条も美琴に何かあったらと思うだけで震えが止まらなくなる。 それは周りから見たら互いに依存しすぎている歪な関係だと思うかもしれない。 しかしながら本当に互いを大事に想っているからこそ生まれた関係だと言うことも出来る。 だから上条は決断しなければならない。 美琴を危険に巻き込むか、それとも何かあった時に美琴が壊れてしまうのを防ぐかを… 「…俺は怖いんだ、美琴を危険に巻き込むのが。 本当は学園都市に喧嘩を売るのだって思い留まって欲しいくらいだ。 でも美琴は優しいから、絶対に計画を止めないことも分かってる。 だから俺は美琴のことを傍で支えることを決断した」 上条は美琴を抱きしめながら自分の胸中を吐露するように言う。 「でも今回の件は、完全に俺がターゲットにされていた。 だから無関係な美琴を巻き込んでいいか分からないんだ」 「でも!!」 「分かってる。 俺が美琴を傍で支えたいと思ってるのと同じように、美琴が俺のことを想ってくれてるのは…」 「…うん」 美琴は返事をして上条のことを力を入れて抱きしめ返す。 「俺はさ、美琴がいなきゃ駄目なんだよ。 最初は支えてあげたいって気持ちが強かった。 でも今は美琴のことが愛おしくて仕方ないんだ、美琴に何かあったらと思うと震えが止まらなくなるくらい…」 「私も同じだよ、私の知らないところで当麻に何かあったら…」 そう言うと美琴の体はカタカタと震え始める。 上条は美琴の震えが止まるように美琴を抱きしめる手に力を入れる。 「…俺はこれから残酷な決断をする。 俺は最低な男だ、一番大事な女を自分の都合に巻き込もうっていうんだから…」 「当麻は最低なんかじゃない。 私と当麻は一心同体だから、一人だけじゃ生きられない。 だから私は何があっても当麻に付いて行く」 「美琴…」 そして上条は語り始める。 科学の街である学園都市と正反対の世界に位置するオカルトの世界の異能…魔術について。 「魔術…」 「信じられないか?」 「自分で言うのもなんだけど、私はガチガチの科学脳だから今までオカルトなんて信じたことはなかった。 でも実際に超能力とは違う力を見たわけだし… それに単純って思われるかもしれないけど当麻の言うことだもん、信じるしかないじゃない」 「今回の件で、何で俺が狙われたかは分からない。 記憶を失う前の俺なら何か知ってるのかもしれないが…」 何処か焦燥感に駆られている様子の恋人の顔に手を添えて美琴は言う。 「当麻も不安なんだね。 でも当麻が常に私の傍にいてくれるように、私も必ず当麻の傍にいる。 だから一人で気負わないで、私が当麻のことを支えるから」 「…ありがとうな、美琴がいてくれて本当に良かった」 「それはこっちのセリフよ。 ありがとう、いつも私のことを傍で支えてくれて」 上条と美琴は互いの顔を見つめ合い、自然と互いの唇を重ねあった。 初めての口づけを交わした二人は何処かソワソワとしながらも、 その日の残りの時間は互いの温もりを確かめ合うように体を寄せ合って過ごした。 そして初めて美琴がやって来た日と同じように二人は手を繋いで眠る。 しかしやはり初日と同じように美琴が上条の布団に潜り込んできて、上条は本能との激しい戦いに臨むことになるのだった。 だが平穏な日々は中々続かない。 それからたった数日後、上条と美琴は学園都市内でインデックスとは違う一人のシスターと出会うことになる。 学園都市への不法侵入者である彼女を巡って二つの組織、そして学園都市の治安部隊まで巻き込んだ波乱が起ころうとしていた。 誰が味方で誰が敵かの判断が混迷を極める中、一人のシスターと一冊の魔道書を巡っての激闘が始まる。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
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【登録タグ Moll P デフォ子 曲 曲英語 雪見だいふくP】 作詞:雪見だいふくP 作曲:雪見だいふくP 編曲:雪見だいふくP 唄:Moll、デフォ子 曲紹介 ZIPがテーマの曲。 英語パートはMoll、日本語パートはデフォ子が担当。 歌詞 Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything and to use it 君がくれた秘蔵のZIPのパスは鏡 それの意味が分からずググった はじめて開けたZIPの中身は全てグロ画像 騙されて、途方に暮れ、欝になった昨日 忘れないよ、あのトラウマ それでも僕はZIP(ゆめ)を追いかけるよ Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything and to use it 君がうpした画像の詳細をはよ寄越せ 分からないならググれと言われた やっと見つけたZIPはパス不明で開かない 虚無感に包まれて不貞寝をした今朝 忘れないよ、あの虚しさ それでも僕はZIP(ゆめ)を追いかけるよ Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything Please give me a ZIP Please give me a RAR Please give me a 7Z I need your treasure I want your everything and to use it コメント 歌詞でワロタ -- 名無しさん (2012-09-24 04 20 48) ZIP(ゆめ)wwwwwwwwwww -- 名無しさん (2012-09-25 12 24 38) ボーカルパートの音量がちょい小さいのが残念 -- 名無しさん (2012-09-26 15 12 33) 名前 コメント
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 第3部 第13話 第三章(3) すでに時刻は7時を刻み、朝日が学園都市を照らしている。 開会式は9時に設定され、それまでに木原唯一が企てた計画を阻止しなければ ならない。 木原唯一は、エレメントという最大全長100mに達する巨大昆虫形態の兵器を を使い、学園都市を物理的に機能不全にする予定だった。 決行開始は午前8時。開始後エレメントは幾何級数的に増殖し、半日で 学園都市を食いつぶす予定だった。 (だけど・・種さえわかれば・・どうということはない) まずは・・・右手を伸ばし、窓のないビルの地下下部空間全体を超高圧電流で荷電 させ、空間をプラズマで満たす。 プラズマで満たされた空間から軟X線が放射され、あらゆる機器が火を噴いて ぶっ壊れる。数万度に達する高温大気に耐えられる元素など存在しない。 莫大な軟X線が空間を包み、瞬間的に蒸発する。その空間に存在していた、あらゆる 物質が、蒸発し、プラズマに還元される。 耐熱被膜も、耐電磁シールドも関係ない。高温プラズマはあらゆる、防護を無力化 する。あらゆる物質が、電荷と磁力が支配する、プラズマへ変換され、私の得意分野に変換 させる。形を失い、電荷と磁場に支配されたプラズマが保護膜へ吸収され雲散霧消する。 (ついでに、あれ壊しましょう・・) 私は、右手を伸ばし、ロケットブースタをマイクロ波で破壊する。 数万度に加熱し、固体だった物質は、液体を飛び越え気体・プラズマへ変わり、雲散 霧消する。本来なら燃料へ誘爆し、窓のないビル自体が雲散し最悪は学園都市自体が 消滅するだろう。だが・・私の保護膜はすべてのエネルギーを吸収し、ロケットブースター だけを破壊する。 卑屈な志がない独裁者が、魔神に地球をぶっ壊されたときに 脱出する為に作り上げた 窓のないビル=脱出ロケット、全人類70億人を見捨てても自分だけが、助かろうという 浅ましさ・・ そもそもアレイスターが、クローン製造や非人道的な木原の実験を放置し、 ラスボスのふりをして尊大な態度をとれるのも、自分が長を務める街の住民が 全員死のうが、プランは誤差の範囲だとぬくぬくとぬかす。 そんな無責任な態度が取れるのも、自分だけがどんな兵器でも破壊できない要塞、窓の ないビルにいるせいだろう?自分だけが、安全地帯にこもり、そこからアンダーラインで 監視し、暗部と呪詛で抵抗する人間、不要な人間を暗殺する。 (本当、これを保護者と180万人学生が知ったらどうなるかしら・・) 木原一族は、学生を、能力者を実験動物と言う。だが・・公的な場でそんなことを 言わない。彼らとて彼らの言い分が受け入れられないことは分かっているのだ。 いったい舌が何枚あるのかしらね・・ 私は、表向きは科学の発展といいつつ欲にまみれ、学園都市を食い物にする悪党 が大半を占める木原とそれを放置するアレイスターに嫌悪を感じ始める。 ふう・・ (つまらない奴・・結局復讐で、人生を狂わせた男) だけど、その歴史ももう終わり、アレイスターが使い捨てにした木原唯一に、寝首 をかかれ生命維持装置と指揮管制システムを失った窓のないビルは無力化された。 そして彼が、独裁者としてその尊大さを維持できた根本要因の安全地帯を保証した 保険、脱出装置のロケットブースターも私がついでに破壊した。 (結果的には・・これでアレイスターは窓のないビルを捨てるしかない) 安全地帯から、高見の見物を決め込み超越者を気取った独裁者は、居城を失い 地べたへ突き落とされた。 (皮肉な話ね、私は木原唯一の行為を肯定はできないけど、彼女の狂気が腐った学園都市 に大きな風穴を開けたことも事実・・) この機会を逃したくない。 そのためには、・・もう少し工作が必要でしょうね・・ 私は、やり残した仕事を片付けに窓のないビルの地下から、現場へ向かう。 俺は窓のないビルという密室で、美琴に託された、凶暴な科学者と さしで対峙している。 本来なら、核兵器でさえ壊せない、独裁者の要塞。 だが、そこに独裁者はおらず、血の跡しかない。散乱した水槽と、独裁者の1700年の寿命を保証した、医療用機器などのコードが雑然と散らかっている。 美琴は、結標とともに退出し、木原唯一が引き起こした惨事の鎮圧に取り掛かっている。 (まあ美琴の事だ、・・なんとかするだろう) 俺は目の前の狂人の相手だけすればいいだけだ・・ (それに、発条包帯も、演算銃器もない。横紙破りも・・そのほかあらゆる武器を美琴 が破壊した) (まあ1時間もすれば・・どうせ美琴は唯一を回収しに来るだろうし) 少し、電撃の痛みが治まったのだろうか木原唯一は、美琴に生体電流を弄ばれた 痛みに顔を顰めながら俺に苦笑いを浮かべるという器用な顔を形作る。 まだ、逆転する方法でもあるのだろうか?それとも諦念かその表情から、本音を読み取る ことはできない。 (唯一は呼吸するように嘘を吐くはったり野郎と美琴は言っていたしな) やがて痛みが収まったのだろうか、木原唯一がおもむろにしゃべり始める。 「ナア上条、・・テメエは御坂美琴をどう思っている?」 「はあ?・・俺の一番大事な婚約者・・だが」 痛みに顔を顰めていた表情を緩め。木原唯一が溜息をつき始める。 「正直、悔しいよ」 「私は、すべてを、時間を、人生を、先生のためにひいては学園都市の為に捧げた」 「だが、アレイスターは先生と私を切り捨て、あの女と幻生を選んだ」 それまで痛みに顔を顰めていた木原唯一が、彼女の屈辱を思い出したかのように 切々を、顔を歪ませながら話始める。 「あれだけのことをしでかしたあの女は、何一つ失うことなく、表から 落ちることもなく、世界有数のお嬢様学校を優等な成績で卒業、表の顔を維持したまま 裏さえも掌握し、私のような存在を追放した。」 「アイツと、アイツを贔屓する学園都市が許せねえ」 俺は、狂人にいいたいように言わせていたが、狂人の半分妄想が入った、戯言に付き合うの に徒労感を感じ始めていた。俺が知る限り、美琴が積極的にアレイスターに取り入ったことなどないはずだ。風紀副委員長だって面倒くさげに最初は嫌々やっていなかったか? 婚約者として、これ以上なじられるわけにはいかない。俺は事実を告げ始める。 「そうか?美琴はアレイスターと嫌々立場上付き合っていただけだと思うけど」 木原唯一の顔が怒りにゆがみ始める。 「テメエは婚約者の傍にいる癖になにも知らないんだな」 「結局テメエも御坂美琴サクセス・ストーリに騙された口じゃねえのか?」 俺は、あまりに嫉妬に満ち溢れた狂人の戯言に付き合いきれず、反論を始める。 「はあ?」 「能力開発唯一の成功例の御坂美琴を取り上げ、広告宣伝活動に使いまくった ことをしらないわけじゃないだろう」 「はっきり言って、能力開発と言ったところで、レベル0がレベル5になるなんて、ありえ ない話だ。」 「レベル1から、レベル5に到達した唯一の例外御坂美琴」 「だが、その裏側を知っている立場からすれば、くだらねえ話だ。素養格付けで 確実にレベル5に到達することが予想され、その予想に従い莫大な巨費と手間をかけて やっと作り出した、アイドル御坂美琴」 「アイツは、学園都市が外から学生を招くための偶像、アイコンにすぎない」 「それがテメエの婚約者、御坂美琴の不都合な真実という話だ」 俺は、何度も聞かされた、美琴の代わり映えのしない裏話に胸糞が悪くなる。 人間の感情で一番くだらない非生産的な感情は、妬みだ。自分がなすべきことをなさず 成功した人間を、自分の下劣なひん曲がった心で事実を見ようとしない、卑しい性根。 俺は腹に力を籠め、木原唯一に残酷な事実を告げる。 「木原唯一は、御坂美琴よりチャンスが無かったのか?そんなはずないだろう?」 「美琴は、言っていたぞ、研究者として2年前唯一先輩は仰ぎ見る存在だったと、私にはすべてが眩しく見えたとな」 「けえ、御坂美琴は食えねえな、正義の味方面をしながら、裏社会にさえ敵を極力作らねえ」 「裏社会に触れつつも、決して裏社会に落ちない。ある意味化け物だよ。あの女は。」 怒りに満ち溢れていた木原唯一の表情が柔らかくなるのを俺は見逃さない。 御坂美琴には不思議な魅力がある。敵にさえも魅了する不思議な力。 裏とか暗部は、表の人間からは強く見えることもある。だが、裏を知り、裏に触れつつ 決して裏に落ちない人間こそが一番強いのかもしれない。 「なあ上条、ひとつ最後の頼みを聞いてくれねえか」 「なんだ?」 「お互い能力なしで肉体言語で会話をしねえか?」 「はあ 俺はレベル0だけどな」 「私もレベル0だよ。」 「そうか・・テメエも苦労したな」 「上条、正直表街道を突き進む御坂美琴を嫉妬していたのは事実だよ」 「そうだろうな、分かっていたよテメエが美琴を羨んでいたのは」 俺は、すっかり憑き物が取れたような木原唯一を見つめる、怒りも自嘲も取れ アレイスター側近の誇りを取り戻し、聡明な顔つきを取り戻す。 俺は、拳を握りしめ、木原唯一に対峙する。 「さて、これで全部終わりかしら」 木原唯一が準備した数々の破壊工作活動を、部員で手分けして阻止する。 本人の思考を読んだおかげで手間が省けた。 ファイブ―オーバや、様々な駆動鎧、エクステリアに操られた能力者など。 木原唯一は、大覇星祭妨害にとどまらず、この学園都市自体を破壊するつもり だったのだろうか? この事態が表ざたになれば、もはや学園都市機能できなくなるほどの混乱が 巻き起こされたことは間違いない。 だが、それももう終わり、2万体もの駆動鎧、1000機の無人ヘリ、500基のファイブ オーバーも私と一方通行が全部破壊し、後は未元物質を吐き出す工場を破壊するだけ。 それが終われば、食蜂とともにエクステリアを破壊するだけ。 木原唯一は、垣根帝督の脳細胞を培養し、未元物質を吐き出す、工場を維持していた。 垣根帝督は私と、当麻に敗北後、不可解な事故で行方不明になっていた。 その事実は、木原唯一に隠ぺいされ、誰も知らぬ間に未元物質を吐き出す、装置へ 変容を遂げていた。 私は、その装置から、垣根帝督だったものが、世に放出される前に阻止すべく 地下空間に鎮座する垣根提督の脳細胞から作成された、巨大脳と対峙していた。 地下に巨大空間に設置された、脳を培養する水槽 超硬質プラスチックに保護され、スペック上はいかなる地震も、気化爆弾でさえ破壊 できない装置。その装置と無数の配管とコードがつながり、未元物質を吐き出す装置 と化している。 「こんな気色悪い装置はさっさと破壊しましょう」 私は、その木原の製造した装置を破壊すべく、右手を前に突き出し、手の平からX線 レーザを放出しようとする。 だが私が装置を破壊しようとした瞬間に人らしきものが現れる。 その人もどきは私に声をかける。 「久しぶりだな、御坂美琴」 「アンタ誰?」 垣根帝督の脳が作り出した人もどきが話を続け始める。 「人を殺そうとして、ご挨拶だな・・」 「人?アンタはただの未元物質じゃないの?」 垣根帝督もどきが、人語をしゃべり始める。 「は・・俺は人じゃねえか・・まあ常識ならそうかもな」 「だが、・・そもそも生物とは何か?テメエはそう思ったことはないか?」 「はあ?」 「俺は、エクステリアを使った木原唯一に無理やり、意識を操作され溶解工場で 体を奪われ、こんななりへ変貌を遂げた」 「そうね。木原唯一はそう言っていたわね」 「俺は培養液で脳として生きていた」 「俺は、いったいなんだ?テメエに定義できるのか?」 私は、事態の複雑さに頭を抱え始める。確かに知能と自我のある存在である以上 この人もどきも風紀委員の保護の対象にすべきかもしれない。 (面倒くさいことになったわ・・時間もないし) 私は、垣根帝督もどきに声をかける。 「ごめんなさい、確かにアンタの言うとおり垣根帝督として、アンタを保護すべき かもしれないわね、ただ・・・少し私に時間をくれない?」 「大覇星祭実行委員として・・か?」 「くだらねえな」 「悪いが、テメエを叩きのめさないと気が済まねえ」 「破壊しようとしたことは謝罪する。だけど、私とアンタに戦う理由がないわ」 「怖いのか?人もどきに負けることが?」 垣根もどきが賢しげに何やら語り始める。 「あの時の俺とは全然違うぞ」 「アンタが、多分強いことは認める。生身のアンタよりもずっと」 私が言い終える前に、垣根がイキナリ攻撃を始める。 羽をとがらせ、羽の先端から未元物質で形成された刃物で私を突き刺そうとする。 だが、・・ 私は、硬X線レーザで未元物質剣を粉砕する 「まあ未元物質たって、無限の強度があるわけじゃないわよね」 「こんな攻撃じゃ届かないわよ」 「さすがに、1位様か・・」 「じゃ・・これでどうだ」 突然、私の周りに、妹たち、一方通行に殺されたクローンのドッペルゲンガーが発生し、 私を取り囲む。 「お姉様は、力があるにも関わらず、なぜ実験を止めなかったのですか?」 「お姉様のことなかれ主義がいったい何人殺したんですか?」 妹たちは、口々に私の非道をまくしたてる。私が触れられたくない心の暗部、私の トラウマ。だが・・ 私は、頭をぼりぼりと書き、垣根に相対する。 「垣根もどき・・つまんないわね」 「本物の妹ならまだしも未元物質の人形に、へいこらするほど私は安くないわよ。」 私は、小細工に無性にイライラし始める。垣根もどき・・ひいては木原唯一が 仕組んだ私への心理攻撃にあまり高くない私の心理的沸点が一気に沸点に達する。 「ああ・・せっかく紳士的に対応するつもりだったのに、もう限界だわ・・」 地下空間が、私のAIM拡散力場のゆらぎの反響で大きくきしみ始める。 γ線をベースにした莫大なAIM拡散力場の干渉波は、人形達を内部から崩壊させる。 「お・・おねえ・さ・・ま」 垣根まがいの人形達も含め私のクローンのような、人形も跡形もなく消滅する。 私は、垣根の巨大脳に相対する。 「アンタが未元物質で作った、人形は全部壊した」 「確かにアンタの言うとおり知能のあるアンタを壊すかどうか、統括理事会の判断を得てからにする。だけど、アンタをこのまま放置はできない」 (私は結局アマちゃんかもね、こんな憎たらしい存在すら殺すことができない) 垣根の脳が危機を悟ったのか思念波を私に送り、懇願し始める。 「な・・なにをするつもり・・だ」 「少し眠ってもらえないかな」 私は、強力な睡眠薬を培養液へテレポートし、巨大な垣根の脳を黙らせる。 (それと・・これは保険・・) 私は、保険にある物質を水槽にテレポートし、その場を立ち去る。 (さあそろそろ、仕上げにかかるか) 一通りの鎮圧作業を終え、私は当麻の元へ急ぐ。 ・・・・・・・・・・ (ただの学者だよな・・) 俺は、木原唯一とさしで能力なしで戦っている。 木原唯一は、ただの女性で卓越した頭脳以外に特別の能力を持たない存在だったはず。 だが、発条包帯もないはずなのに、俺の渾身の右アッパーはかすりもしない。 数々の能力者や魔術師を、黙らせた前兆の関知・・その技が全く通用しない。 俺は息を切らし、肩で呼吸を始める。 (ハア・・かすりもしねえや・・) 木原唯一は合気道か空手の有段者なのかそのフォームに無駄がなく、的確に俺の 攻撃をかわし続ける。 (こんな化け物だったのか・・木原唯一は) 正直俺は木原唯一を甘く見ていた、美琴が瞬殺したので大した奴ではないと 軽く見ていた。だから科学機材、駆動鎧、薬品を奪われた木原など恐れるに足らないと。 だが、科学の尖兵たる木原唯一は自分の体の制御さえ極限まで尖らせまったく、ひとつ ひとつの所作に無駄がない。俺の自我流のパンチは全く通用せず、時間だけがむなしく 流れ続ける。 (美琴は、こんな化け物を捻りつぶしたのか?) (このままでは勝てない) 俺の一瞬の雑念を木原唯一は、見逃さない。能力者用に特化し、木原の対能力者戦闘の 決めてのひとつである木原神拳がさく裂し、俺を突き飛ばす。 肋骨でも折れたのだろうか・・激痛が俺を襲う。恐らく、工学的に極大の効果を得るように 極限まで研ぎ澄ました、木原の拳法が俺を打ちのめす。 が・・ァ 俺はノーバウンドで数メートル吹っ飛ばされる。 (なんて強さ・・・だ・・) 背中に激痛が走る。呼吸さえも苦しく痛い。 俺は、何度も体脂肪率数%の100KG越える、スキルアウトと肉体言語で会話をした。 それでもこれほど効果的に能力なしに俺に打撃を与えた奴はいない。 (・・くそ・・このままじゃねじ伏せられる) 木原唯一は、執拗に俺の脇腹をけり、意識を奪おうと攻撃する。まるで残虐性こそが 木原の神髄と言わんばかりに責めつける。 「ケ・・あの御坂美琴の婚約者というからどんなすげえ奴かと思えば、異能を打ち消す 右手以外はただのモブかよ・・がっかりだな」 「オイオイ上条さんよ、仮にも1位の婚約者だろう?御坂美琴には敵は多いんだぞ、 そんなんで、自分の身一つ守れるのか?」 口撃の合間も唯一の攻撃に切れ目がなく、木原の華奢な右手から信じがたい、まるで 駆動鎧のような強烈なパンチが俺の腹を直撃する。 (糞・・なんて強さだ・・下手な肉体強化系より強いぞこりゃ) (このままじゃ・・美琴がくるまでに殺される) 俺は、木原唯一の戦慄すべき戦闘力に今更ながら驚愕する。 俺は御坂美琴という異常な存在に関わりすぎて、木原唯一のような強者を正当に評価する 目を失っていたかもしれない。 だが、(美琴を侮辱した下衆野郎には負けられネエ)その一念が俺にパワーを与え、痛み を軽減する。まだ立てる・・よし・・ 俺は目を細め、ひたすら唯一の気を目でなく、全身で感じる。極限まで気を 伺い、右手に力を籠める。まるで、呼気の分子、生体電流のわずかな変異、筋細胞 のATPわずかな合成の力場さえ感じる。そんな気さえする。 俺は、態勢を整えつつ、唯一を挑発する。 「何度も、テメエは美琴の邪魔をした」 「ああ?」 「美琴は、邪魔をされ、侮辱されたにも関わらず、テメエを許し、保釈さえ自分で手続を した」 「そんな三下は美琴が許しても俺が許さねえ」 「な・・なんだと・・」 木原唯一が正気なら、そんな安い挑発には乗らなかっただろ、だが、もともと気に食わない 御坂美琴を擁護され、冷静さを失った、唯一は安い挑発に乗り、大降りに腕を回転させ、上条の意識を刈ろうとする。 (チャンス・・)俺は、ワンチャンスをものにして木原唯一に渾身の一撃をくらわす。 轟音が響きわたり、木原唯一の顔面はゆがみ、口から血をはき、10M以上ぶっ飛ばされ、壁に激突する。白目をむいた唯一はぴくりともしない。 (ふ・・なんとか、倒したか・・?) 安心したのだろうか、骨折箇所がずきずきという表現では陳腐なほど、痛み始める (まあこれで、少しでも木原唯一が反省してくれればいいんだがな) ふっと俺が顔を上げると、いつ到着したのだろうか、美琴が俺を見つめている。 「ごめんなさい、もっと早く到着するつもりだったけど、トラップが幾重にあって 手間取ったわ」 「ああ・・いいよ、で、処理は終わったか」 「ええ、AI捜査支援システムも復旧作業も終わっているから、もう安心よ」 「そうか」 美琴が、嘲笑を始める。 「当麻、御免なさい。私は婚約者さえ守れない最低の女だわ」 「他にいくらでもやりようがあった、あげくにシステムを過信し、木原唯一の暴走を 防げなかった。」 美琴が、深々と最敬礼を俺にする。それでもダメなら土下座しかねない勢いで。 「私は、当麻に合わせる顔がない」 御坂美琴は人の痛みを自分の痛みとして感じることができる高潔な人間だ。 そんな人物が、自分のライバルであった、木原唯一を自分への妬みで自滅させ、その 自滅に多くの風紀委員を巻き込み、さらに婚約者に重症を負わせた、その事実に 心を痛めないはずがない。 俺は、そんな美琴が大好きだ。だったら、傷心に苦しむ女にできること・ そんなこと、言うまでもない。そしてどんな言葉も必要ない。 俺は無言で、美琴を抱き寄せる。 美琴の瞼から透明な液体がこぼれ落ちる 他人の前では誰にも見せない涙、俺にしか見せない美琴の涙。 感情をため込んでいたのだろうか、美琴の嗚咽は止まらない。 俺は頭を撫で、美琴の気が収まるの待つ。 やがて、5分が経過し、美琴は涙を拭き、いつもように凛とした表情を取り戻す。 目に輝きが戻り、意思と聡明さに溢れた表情を作り出す。 (やっぱり美琴はこうじゃなきゃな) 見る人に力と勇気を与え、気分を晴れやかにするその笑顔。 俺は、そんな美琴に惚れたんだから。その笑顔を守るためになんでもすると 誓ったのだから。 だから、俺だけは、上条当麻は、いつでも美琴の味方になる。 「当麻、本当にありがとう」 「いつまでもいじいじしてられないわ」 「まずは、このビッグイベントを終わらせましょう」 「ああそうだな」 「じゃ・・そろそろ開会式よ。」 「ああ、で・・これはどうする?」 当麻は、死んだ魚にように無言の木原唯一を指さす。 「そうね、」 「簡単に殺さないわ、犯した罪に見合う、方法で処理する」 美琴は、米俵のように唯一を抱え、俺に告げる。 「じゃ・・本部へ急ぎましょう」 午前9時、木原唯一の反乱は鎮圧され、大覇星祭は何事もなく 無事開会式を迎えた。そのことを知るのは御坂美琴の関係者十数人だけだった。 続く 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン)
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第1章 表と裏と光と影と Intersecting_speculation 1 十一月二十一日、学園都市は異常なまでの活気に満ちていた。 三日後に迫った一端覧祭の準備に大忙しだからだ。 この一端覧祭は大覇星祭と同じく世界最大規模の文化祭であり、大覇星祭と同じく世界に公開されるので注目度も高い。 しかも演劇やクイズショーなどを学生達が能力をフルに使って演出する為、下手な映画よりも見応えがある。 一端覧祭には大覇星祭のように他校と得点を競い合うというのはないが、クリスマスイブの丁度一ヶ月前という事で学生(特に女生徒)にとって一つ大きな意味がある。 「毎年思うんだが、この時期の女子って妙に殺気立ってないか?」 浜面仕上はいつもとは違いすぎる街並を見て溜息とともに言う。 「それは、はまづらが、鈍感なだけ」 隣にいる少女はバッサリと斬り捨てる。 上下ピンクのジャージで街を歩き回るのは意外と目立つらしい。微妙に好奇の視線が突き刺さる。 右を見れば青髪で体格のいい少年が「俺はいつでも誰でもオッケーなんやでぇ~。」などと喚いている。 左を見れば黒髪ツンツン頭の少年が電撃を浴びながら「不幸だ~!」などと叫んでいる。 なんか聞き覚えのある声だがおそらく気のせいだろう。 彼らは現在『表』の住人として生活している。 先月激闘の末、学園都市第四位を退けた無能力者はその後『アイテム』下部組織を脱退し、普通の無能力者として生活している。 そして隣にいる少女、滝壺理后となぜか同居生活を続けている。 (いや、まあ確かにこいつには幸せになってもらいてえけどよ。確かに俺としてもやる事があるわけだけどよ) 「はまづら?」 (それにしたっていきなり同居はねえだろ…。何考えてんだあの巨乳警備員) 「はまづら」 (しかもこいつはこいつで全然意識もしないでくっついてくるし…。この一ヶ月色んな意味で生きてる心地がしないぜ) 「はまづら!」 クイクイ、と滝壺は浜面の袖を掴んで少し強い口調で問いかける。とは言っても彼女の平坦な口調での話なのでその些細な変化に気付けるのは浜面だけだ。 「ん?ああ、どうした?」 「はまづらが、ボーっとしてる」 「…そのセリフをお前に言われるとはな」 「はまづら。どこ行くの?」 「ああ、ちょっとした知り合いの所だ。割と大事な話があるからな」 「?」 滝壺は首を傾げるが、浜面は構わず進む。滝壺も置いていかれないようについていく。 「ちょっとした交渉だよ。今の状態のままじゃ流石に色々とまずいだろ?」 「何がまずいの?」 「今の状態だよ。いくら何でも同居状態はまずいだろ。それにお前は学校の寮が手配されてるって話じゃないか。だったらそっち行った方が生活しやすいぞ」 浜面は何の気なしに言ったが、その言葉は滝壺を怒らせるには充分すぎた。 「はまづら。やっぱり鈍感」 ボソリ、と小声で恨み事を言う滝壺の背中から黒いオーラが出ているのは気のせいだ。と浜面は自分に言い聞かせていた。 2 「結局、彼らはどうなったんですか?」 『ん?まぁこっちで保護するって話にはなったんだけど…。正直、私としては反対なのよねー。貝積の野郎がしつこくてさー』 「どういう事なんですか?」 『今戦争が起きそうな話は知ってるでしょ?んで、学園都市と手を組んでる組織が内乱起こしちゃってさー』 「それとこれと何の関係があるんです?」 『単純にそこまで時間と人を割けないって事。「猟犬部隊」は再編の目処が立たず、「未元物質」と「原子崩し」も失って今の学園都市は満身創痍なのよねー』 そこで電話口の女は一つ溜息を挟んで、 『イギリスの動向に注意しつつ、ローマも相手にしなきゃいけない状況なのに、更に厄介事を持ち込まれちゃたまんないわけよ』 女はそう言ってはいるが、口調からしてそこまで困っているようには感じられない。 『ところでさ、絹旗ちゃん?』 「何です?」 『新人のあの子、どうよ?』 「超使えないです。敵にやられるだけならまだしも、能力暴発させて超死にましたけど」 『死んでたのかよっ!』 「何であんなのよこしたんです?」 『しょーがないじゃーん。だって「スクール」はうざいし、「ブロック」と「メンバー」は消滅しちゃったし。こっちも人材不足なのだよ』 はぁ、と絹旗は溜息をつく。何でこんなわがままな女が『アイテム』の上役なのだろう。 『やっぱそこはさ、「アイテム」新リーダーの絹旗ちゃんにしか頼めないなーなんて。頼りにしてるんだよー?』 「頼りにしてくれるのは超ありがたいんですけど手回しくらいはきちんとして欲しいんですが」 『どゆ事?』 「先月私が海外出張しに行った事覚えています?あの時、向こうのホテルの予約が取れてなくて超野宿したんですけど?」 『あ…』 「あと先週の回収任務の給料貰ってないんですけど」 『あぅ…』 「ついでに一昨日貨した五千円、超返して下さい」 『いや、あのね、絹旗ちゃん?』 「何ですか?」 『そこは後ばら』 「超却下です」 絹旗は女の言葉を最後まで聞かずに宣告した。 「とりあえず今からそっちに向かいます。それまでに用意しといて下さい。もしできなかったら超デコピンなので」 『いやーーーー!!それはやめてーーーーー!!?前回あれやられて一週間も腫れてたんだからーーーーー!!!!!!』 電話口でぎゃあぎゃあ騒ぐ女を無視して電話を切ると、絹旗は狭い路地裏に消えていった。 3 土御門元春は黙考していた。 最近、義妹の舞夏の様子がおかしい。 思えば先月のいつだったか、隣の上条宅に突っ込んで行ってからおかしくなっている。 いや、厳密に言えば突っ込んで行った時点でおかしかったが。 とにかく、以前のように「兄貴ー」と笑いながらとてとて寄ってくる事がなくなってしまった。 なんだこれは。反抗期なのか。自分は舞夏に反抗されるような事をしたのか。 否。そんなはずはない。 毎日記入している門外不出の『舞夏育成ノート』にはそのような記述は一切ない。 万一あったとしても自分がそのような愚行を犯しておいて、忘れるはずがない。 ではなぜ…? 「にゃー…」 べちゃり、と音がしそうなくらいの脱力ぶりでテーブルに突っ伏すシスコン軍曹。 そのテーブルには舞夏が早起きして作ったのであろう、味噌汁が入った鍋が置いてある。 その鍋を見つめながらシスコン軍曹は再び思考の渦に身を投じる。 事の発端は天草式の少女が上条の部屋を訪れた日だ。 舞夏と楽しくホワイトシチューをつつくはずだったのに、当の舞夏が突然血相を変えてベランダの壁をぶち抜き上条宅へと突入していった。 ほどなくして戻ってきたと思えば味噌汁がどうのこうので舞夏クッキングタイムに入ってしまった。 こうなると兄でも手がつけられない。 話だけでも、と一度だけ邪魔をした時があったが、その時は凄まじいボディブローを食らい一撃KOされている。 それからというものの、舞夏の味噌汁奮闘記に付き合わされ続けている。というか味噌汁しか出てこない。 愛する義妹の手料理と言えど、一ヶ月以上も毎日味噌汁しか出てこないとなると流石のシスコン軍曹も飽きてくる。 (にゃー…。味は文句なしなんだが、以前のような愛がないにゃー。これでは俺の腹は満たせないんだぜい) しかし、こんな事を意見すれば待っているのは悶絶ボディブローだ。味噌汁をぶちまけたくなかったら黙って食べるしかない。 「食べ物に不自由するのは結構つらいぜい。カミやんも毎日こんな生活なのかにゃー」 思わずそんな独り言を放った直後、土御門はあるとんでもない可能性に気付いてしまう。 舞夏がおかしくなったのは上条当麻の部屋に行ってからだ。 (まさか…) そしてその上条当麻は関わった女性に対して高確率かつ平等にフラグを立てる旗男だ。 (そんな事が…) その上条当麻は日々食糧難に苦しんでいる。 (あるはずが…) そして舞夏は上条宅から帰還後に究極の味噌汁開発に明け暮れている。 これらの事実から推測される事は…。 「ふざけるなああああああああ!!!!!!!おのれ!!!上条当麻ああああああああ!!!!!!!!!」 ガタッ!!と凄まじい勢いでシスコン軍曹は立ち上がり野太い声で叫ぶ。 「外国人巫女様お嬢様妹巨乳でこ女子高生豊乳シスター爆乳エロスお姉さん堕天使エロメイド隠れ巨乳と散々フラグを立てておいてまだ足りぬか!!!!」 いつもの軽い口調は完全に吹っ飛んでいる。この男、マジである。 「今までは大目に見てきたが舞夏だけは許せん!!もう見過ごす事はできんっっ!!!!!!!」 そう宣言すると土御門はベランダではなく部屋の壁をぶち抜いて上条宅へと侵攻していくのであった 4 一端覧祭を控えいつも以上の喧騒が広がる学園都市の中でこの空間は静かだ。 ちょっとアルコールの匂いが鼻につくが、それでもどこか心地良さを感じる事ができる。 辺りは一面真っ白で清潔感そのものだった。 すれ違う人も落ち着いていて平穏な時間を過ごしているように見える。 海原光貴はそんな廊下を歩いていた。 つい今しがたショチトルという少女の見舞いを終えたところだった。 あれから毎日の日課になっているが、未だに口を利いてもらえない。 それでも最初の頃は転院した事も教えてもらえず、病室にすら入れてくれなかったのだから見舞いができているだけでも彼女との距離は確実に縮まっている。 「ようやく、向き合えてきたのでしょうかね」 海原は思わず頬を緩めてしまう。 自分は『組織』を抜け学園都市の暗部へと潜りこんだ。多くの命を奪い、自らの目的の為とあれば大切な人を傷つける事すら考えた程だ。 そんな闇に染まった自分にこんな穏やかな感情がまだ残っていたとは。 まだ少し痛む頭で海原はぼんやりとそんな事を考えていた。 「おや?」 病院を出て携帯電話の電源を入れるとディスプレイに見慣れた番号が表示される。 その番号をプッシュしようとした瞬間、 ヒュン!と空気を切り裂くような音と共に一人の少女が現れた。 「結標さん、トラウマは完全に克服されたのですか?」 「茶化さないで。これでも精神集中して慎重に演算してようやくできたんだから」 そう返答した結標の背中には低周波振動治療器はなかった。常に携帯してあった懐中電灯もない。 これはあの日、結標が『仲間』に誓った覚悟の証。 自身のトラウマがどうこうという問題ではない。自分の力で『仲間』を助ける。ただその一点。その一点が結標淡希を突き動かしている。 「それにしても、よくここにいるとわかりましたね」 「あなたの行動パターンくらいわかってるわよ」 結標はぶっきらぼうに答える。 「それはそれは」 海原は少し笑みを浮かべて、 「ところで用件は何でしょう?もしかして一端覧祭のデートのお誘いですか?」 「まだ平和ボケしてるんだったら、そのニヤけた顔にコルク抜きでもぶち込んであげようかしら?」 結標は不適な笑みを浮かべながら海原へ冷たい視線を送る。 懐中電灯を持たない今、結標の攻撃は予備動作なしで繰り出される事になる。その事を瞬時に理解した海原は降参とばかりに両手を上げる。 「仕事…ってほどじゃないんだけど、ちょっと協力して欲しい事があるのよ」 海原は表情を少し引き締め答える。 「先日の『残骸』の件ですか?」 結標は頷くと付いてこい、と言わんばかりに歩き出す。 「あなたは察しが良くて助かるわ。世界中に散らばっていた『残骸』が急に回収されたのは知っているわよね。それでちょっとばかり引っかかる事があるのよ」 「引っかかる事…ですか?」 海原は正面からテントの骨組みを持った男子高校生を避けながら結標に先を促す。 「私は以前、地上に落ちた『残骸』を回収してるけど、その時は一方通行に破壊されてるの。でもここにきて学園都市が急に『残骸』を回収し始めてるの」 「『残骸』は『外』の連中が血眼になって回収に飛んでいるはずですが…そもそも、それが『残骸』だと言う確証は?」 「ないわ。ただ、この件で人員不足の『アイテム』がわざわざ『外』まで出向いてる事を考えるとあながち嘘でもなさそうじゃない?」 「さっき世界中と仰りましたが、それが本当だとしたらそれなりの数の『残骸』が既に地上にあるという事になりますが…」 「いくつか地上に落下していたんでしょう。『外』の連中に回収されても問題ないとは思うのだけれど…データを失うのが嫌なのかしらね」 「しかし何で今なんでしょうね?貴女が『残骸』を回収したのは九月半ば。二ヶ月も経った今頃になって回収し始めるというのは…」 「それが引っかかってるのよ。『外』は今戦争直前で混乱しつつある。レベル5を二人も失った今の学園都市に寄り道をしている余裕があるとは思えないわ」 「しかし、それが寄り道ではなく近道だとしたら」 海原が質問するように返す。 結標は足を止め、天を仰ぎ、答える。 「もしかしたら私達にとっても近道になるかもしれないわね」 5 垣根帝督はとある高校の校門前に立っていた。 ミディアムヘアの金髪を靡かせ、校門前で佇む彼の姿は他校から殴り込みを仕掛けに行く不良のようにも見える。 当然、とある高校の生徒からの視線が集まるが、垣根はそんな事は気にしない。彼の目的は一つしかないからだ。 そんな彼に横合いから話しかけてくる人物が一人。 「こんな所で立って何をしているのですかー?」 垣根は声のした方向に視線を移すが何もない。 いや、いた。 自分の肘あたりに、訝しげな視線を向ける一人の幼女が。 「見ての通りここは高校ですよー?服装を見る限りあなたはここの生徒には見えませんが…?」 幼女にしては話し方が妙に大人びている。だが問題はそこではない。なぜ高校の敷地内に堂々と小学生と思しき幼女がいるのか。 しかしそこは紳士な垣根。警戒されないように優しい口調で言葉を返す。 「俺はここの生徒に用事があるんだよ。もし迷子ならここの職員を訪ねるといいよ」 「私は迷子なんかじゃありませんよー?と言うかここの先生です」 この小学生、中々面白い事を言うじゃねえか、と垣根は頭の中で感心する。しかし、こんな子供に構っていられるほど暇ではない。 「とりあえず職員室にでも行こうか」 垣根は幼女と共に学校敷地内に入ろうとするが幼女は断固阻止する。 「殴り込みはいけないのです!何か理由があるのなら先生が聞くのです!」 幼女は垣根の左足をガッチリとホールドしている。 まだ続けるのかこのガキ、と紳士な垣根が眉間に皺を寄せかけると、 「月詠先生。何をなさっているんです?」 今度は落ち着いた、大人の女性の声が聞こえた。声の主は教師を絵に描いたような黒縁眼鏡に整った髪、これと言って特徴のない顔といい教師の鑑みたいな女だった。 垣根はこの女がこの高校の教師であると確信すると、 「ここの高校の雲川芹亜という方に会いに来たんですが」 いきなり尋ねられた女教師は不審に思いながらも、雲川という生徒について考える。が、そんな生徒がいたという記憶はない。生憎だけど知らないわね、と答えようとした時、 「雲川ちゃんですか?だったらこの時間だと食堂にいるんじゃないですかー?」 また幼女が口を挟んできた。うんざりしながら幼女に視線を戻すと幼女は続ける。 「彼女はいつも食堂の椅子を繋げて寝ているのです。今ちょうど昼休みも終わったところですし、早く行かないと雲川ちゃん寝ちゃいますよ」 なんでそんな事まで知っているんだ、このガキ。という疑問を飲み込み垣根は少し考える。 様子を見るとあの女教師は雲川自体を知らないだろう。このガキの言ってる事も信用できないが、ここまで具体的に言い切るのなら知っている可能性もある。 もし違かったのなら職員室で尋ねればいいだけだ。何よりさっさとこの面倒臭い状況から抜け出したかった。 そう判断すると「ありがとう、お嬢さん」と幼女に微笑みかけ校舎に向かって歩いていく。 そんな少年の後ろ姿を呆然と眺める特徴のない女教師――親船素甘は隣にいる幼女教師――月詠小萌に視線を向け、 「あんなどこの馬の骨ともわからない少年を校舎に入れてしまってもいいんですか?それに今は黄泉川先生は休み、災誤先生は未だに療養中なのに…。何かあったら対処できませんよ?」 しかし幼女教師は平らな胸を力いっぱい張ってきっぱりと返答する。 「大丈夫なのです。あの子はそんなに悪い子には見えません」 一体何を根拠に?と親船はさっぱり理解ができずに首を傾げるが、きちんとした理由があった。 初対面なのに「え?こいつ教師なの?」と聞かれなかったという立派な理由が。 6 土御門元春は困惑していた。 上条当麻を抹消すべく壁をぶち抜きターミネーターの如く登場したはいいが、その眼前にいたのは長く艶のある黒髪を梳かしていた姫神秋沙だった。 姫神は本能で危険を察知したのか髪を梳かしていた櫛を魔法のステッキのように土御門に向けるが、当然何も起こるはずがない。彼女は魔術師ではないのだ。 ようやく侵入者がデルタフォースの金髪だと認識すると、櫛を構えていた右手を下ろし、 「びっくりした。どうしたの?」 姫神の問いかけにようやく我に返った土御門は左手を腰に当て白々しい笑みを作る。 「いやー…遂にロリの真理を発見してにゃー。それを一秒でも早くカミやんに伝えねばと思ったんだぜい」 何やら不審な事を口走り始めたロリコンサングラスに姫神は再び櫛を構える。 墓穴を掘った、とちょっとばかり後悔した土御門は別の話題を探す。上条がいないのは既に気付いていたが、そこで別の事に気付いた。 「そういえば食いしん坊シスターはどこに行ったんだにゃー?」 ついでに三毛猫もいない、文字通り姫神と土御門の二人しかいない部屋で姫神の淡々とした声が響く。 「小萌の所へ出かけて行った」 土御門が通う高校では今日から三日間は一端覧祭の準備日という事で授業は休みだ。学校では有志の生徒が登校して準備をしている。小萌はその監督者と言ったところだろうか。 当然、土御門のように通常の授業さえまともに受けていない生徒が休日に有志で準備を志願するはずがない。てっきり上条も同類で部屋で「うだー…」としているとばかり思っていたのだが。 「カミやんは?」 「ジュース。買いに行ってくるって」 ふむ。やはり同類だったようだ。まぁ黙って待っていれば直に帰ってくるという事だ。 「ところで姫神は何でカミやんの部屋にいるんだにゃー?」 姫神はクラスメイトの吹寄と仲が良い。当然、吹寄は準備組だろうし姫神もそこの一人であると思っていたのだが。 「大覇星祭の埋め合わせ。私はいい。と言ったのに彼がどうしても。と言うから」 姫神は至って平静を装って説明するが、彼女の手の中にある櫛は凄まじい速さで高速回転している。 この野郎、今日は巫女様ルートを進めるつもりか、と上条への殺意をより固めるヒットマン土御門。 だいたいの状況を把握した土御門は壁に大穴が開いた主なき部屋で標的を待つ事にした。 「………………………………………」 「………………………………………」 微妙な沈黙だ。 土御門元春には姫神秋沙に対して負い目がある。 それは大覇星祭での事。 とある魔術師との戦闘に巻き込まれた姫神は、その魔術師の手によって瀕死の重傷を負ってしまった。 しかも自分が相手に放ったハッタリが間接的な引き金になったと知って自分の失策を恥じた。それが自分の知らないところで起こった悲劇なので尚更腹が立った。 もちろん、当時の戦況を知る者であれば彼の判断を責める事などできるはずがない。 だが、プロの魔術師として魔術に何の関係もない一般人を巻き込んだ時点で自分を許す事などできるはずがなかった。 しかもイレギュラーだったとは言え、吹寄制理まで巻き込んでしまっていた。 本来であれば、きちんと筋を通して謝るべきなのだろうが彼の立場上謝るわけにもいかない。彼女達からすれば土御門はあの一件に関わっているはずがないのだから。 そのジレンマが土御門を葛藤させる。 「土御門君。」 姫神が唐突に口を開く。 土御門はまるで摘み食いがバレた子供のように素早く姫神に視線を向ける。 「なんか。いつもと雰囲気が違う」 女という生き物は怖い。こういう時は第六感が働くのだろうか、些細な変化でも敏感に察知してくる。 この能力ばかりは科学と魔術の暗部で立ち回っている土御門といえども会得できない特殊なものだ。だが、土御門とてプロのスパイ。核心までは掴ませない。 「気のせいにゃー。土御門さんにも真面目モードになる時があるんだぜい?」 「信じられない。君は死ぬ瞬間ですらヘラヘラしてそう」 これは一度誤解を解いておくべきか。と土御門は頭を抱えかけたがその時、 ピンポーン、と平凡なインターホンが鳴り響いた。 何だ何だ。来客か?と首を傾げる二人。ここは上条の部屋だし、自分の部屋に入るのにわざわざインターホンを鳴らすわけがない。 居留守を決め込む理由もないので、とりあえずドアを開ける。 そこにいたのは、姫神と同じく黒髪の少女。 しかし彼女の服装は制服ではなく完全な私服である。 デニムパンツを穿き、真ん中にレースの入った白のシャツの上にグレーのベストを羽織っている。これでレイピアでも持っていれば貴族に見える。 「あ、あれ…?ここって上条さんのお宅じゃ…それにその声、確かアビニョンで…。」 予想外の人物のお出迎えに戸惑う天草式少女。 この人誰?と訝しげな視線を送る元巫女様。 これは修羅場の予感だにゃー、とニヤけるエージェント。 上条の与り知らぬ所で奇妙な三人組が誕生した。 7 浜面仕上と滝壺理后は第二学区を歩いていた。 この第二学区には『警備員』と『風紀委員』の訓練所がある。 今は常時警戒態勢にある為か、建物の至る所から物騒な音が鳴り響いている。その騒音対策の為に張り巡らされている防音壁が何者かによる包囲網にも見えてしまう。 それだけこの第二学区は殺気立っていた。 なぜそんな物騒な所に無力な少年少女(片方はレベル4)がいるかと言うと、ある人物に会う為だ。 「お、浜面~。久しぶりじゃん」 「くそっ。何でこの女はいつもこんな軽いテンションなんだよ」 待ち合わせ場所には既にジャージ女―――黄泉川愛穂が立っていた。 「いきなり電話で話があるとか言って呼び出しておいて何じゃんよ?しかも彼女まで同伴させちゃって~。も、もしや結婚!?いや~浜面も遂に所帯持ちか~」 「けっ!?ち、違えよバカ!!」 浜面は、一人であさっての方向を向きながら息子の門出を祝う母親のような顔になっている黄泉川に向かって必死に否定の言葉を返すが聞いているかどうかは怪しい。 「何じゃんよ?私はまだ未婚だから婚姻届の書き方は知らないじゃんよ。とりあえず役所に行けば教えてもらえるんじゃん?」 「そうじゃなくて…。滝壺の寮の事だよ」 トボけるジャージ女の話を無視して浜面は無理矢理用件の本筋に入る。 「滝壺には一応、学校の寮の部屋が割り当てられてるんだろ?なのに何でお前はわざわざ俺の所に滝壺を預けたんだよ?」 滝壺理后は退院後、その稀少な能力を認められ霧ヶ丘女学院へ入学した。 もっとも、彼女はもう実質的に能力を使う事ができないのでその学校に通えるとは思えないのだが…。そのあたりはある人物の強い推薦があったとかないとか…。 ともかく、浜面の言い分としては寮があるのなら寮に入り、健全な高校生活を送るべきだ、という事だった。しかし。 「浜面のくせにまともな事言うじゃん。てゆうか変な物食べた?」 「ほらなっ!絶対そう返すと思ったんだ!人が折角更正しようと頑張り出した途端にこれだよ!!」 「まあまあ。確かに浜面の言う事も一理あるのはあるじゃん。でも…」 急に黄泉川は右手を口に当て言葉を止める。 「?」 浜面が首を傾げていると、黄泉川は口を開く。 「だってさ、浜面はやっとやりたい事が見つかったって言ってたじゃんよ?それはその子を自分の手で守る事なんじゃないの?」 「うっ」 「私としては気を遣ってあげたつもりじゃん。だってそうじゃん?常に一緒にいれば、どんな魔の手が来ようともすぐに浜面が助けられるじゃんよ」 「それは…」 「それにあの時の浜面は確かに守るべきモノを守ろうとする男の目をしてたじゃん。」 「……」 「それともあれは嘘だった?勢いで思わず口走っちゃって、今度は面倒臭くなったから他人様に宜しくお願いしますって感じ?」 「それは違う!」 「だったら今のままで問題ないじゃん」 返す言葉がない。 見事なまでに言い包められた交渉人・浜面仕上。そもそも交渉にすらなっていなかったが。 「それに…その子は絶対に一人にさせちゃ駄目じゃんよ…」 ボソッ。と、聞こえるか聞こえないかというつぶやき。 浜面は聞き取れなかったのか首を傾げるが、黄泉川はサッと顔を上げ、 「まあそういう事じゃん。相談なら逐一聞くじゃんよ。じゃあ私は射撃訓練があるから。じゃ~ね~」 そう言い残すとジャージ女は颯爽と去っていった。 「はまづら」 すると、これまで口を真一文字に閉じて二人のやりとりを見ていた滝壺がポツリと言った。 「あの女の人。あんな色のジャージなんか着てて恥ずかしくないの?」 浜面はツッこむべきかどうか一瞬迷ったが、華麗にスルーした。 彼はもうシリアスなのかギャグなのかわからない場の空気についていけなくなっていた。 8 垣根は食堂に繋がる廊下を歩いていた。校内の見取り図は知らないが、学校の食堂がどのような場所にあるかというのは大体の見当がつく。 途中、三毛猫を抱えた白い修道服の少女が「プリンプリンーーー!」と叫んでいた。はて、この学区には神学系の学校はあったか?などと考えていると食堂に着いた。 入り口には『一端覧祭直前特別企画!先着5名様に限り特製焼きプリン250円!』という立て看板がある。 気楽なもんだ。と、乾いた笑いを浮かべつつ食堂の中に入る。 食堂にはほとんど人がいなかった。学校が自由登校日だという事もあるのだろうが、昼のピークの時間を過ぎていたので生徒のほとんどは自分の教室に帰ったのだろう。 静かな食堂というのは、どこか裏路地の静寂にも似ている。 「あら、珍しいお客さんが来たみたいだけど」 その静寂を破る声。その声は小さくもなく大きくもない。しかし身を貫くようなしっかりとした声だった。 「随分と愉快な寝床じゃねえか」 「こう見えて結構な寝心地なんだけど。あなたもどう?」 冗談じゃねえ。とばかりに垣根は椅子に腰を下ろす。 「改めて、ようこそ未元物質(ダークマター)。こうして面と向かって話をするのは初めてだけど」 雲川は椅子を繋げたベッドから起き上がりながら言う。 「俺の名前を知らないわけじゃないだろ?できれば名前で呼んで欲しいな」 失礼。とばかりに笑みで返事をすると雲川も椅子に腰を下ろし垣根と正対する。 「色々と聞きたい事があるんだが。とりあえずテメェはどこまで知っている?」 「少なくともあなたよりは知らないと思うんだけど」 「すっ呆けやがって。テメェの『役割』くらい知ってるんだよ」 「そうカリカリしなくてもいいと思うんだけど。そうね、とりあえずここ最近の学園都市の動きでも話そうか」 「そんな世間話をする為にわざわざ来たわけじゃないんだけどな」 「話をするにも順序ってものがあるんだけど。それにあなたが眠っていた間の情報とかもあるけど?」 「そうかい」 垣根は背もたれに体重をかけ、さっさと話せとばかりに視線と顎を上げる。 「『未元物質』垣根帝督は死んだ。もちろん、表向きには…だけど」 垣根は動かない。そんな事には興味がないようだ。 「それによって学園都市の順位に変動が出た。第三位の『超電磁砲』が第二位に、第五位の『心理掌握』が第三位になったわけだけど」 「へー。あの雑魚が第二位ねえ。学園都市もヤキが回ったもんだな」 「一言に雑魚って言うけど、それはあなたの次元での話でしょ?普通に考えたら『超電磁砲』だって充分脅威だけど」 「人一人も殺せないような甘ちゃんなんか使い物にならねえだろ?」 「それはあなた達のような人種じゃないからだけど。それにあの子は学園都市にかなり協力してくれてると思うけど?」 「『妹達』か。一方通行に殺される為だけに生み出されたクローン体…。まったく、同情するぜ」 雲川は何かを言いかけたが、その言葉を飲み込み別の言葉を紡ぐ。 「それと例のローマ教徒との対立だけど、今はとりあえずは小休止ってところ。何でもあっちで色々トラブルがあったらしいけど」 「ふーん」 「まぁ…この辺はあなたにとってはどうでもいいってところだろうけど」 「道理で以前に比べて街中が騒がしくなってないわけだ。この学校に至っては呑気に学園祭の準備だもんな。危機感ってのは感じないのか?」 垣根は呆れたような声で話すが、雲川は構わず話を続ける。 「とりあえずはこれが学園都市の『表』の動き。次に『裏』だけど、今活動してるのは『グループ』と『アイテム』の2つ。あなたのいた『スクール』は再編中らしいけど」 「…。『ピンセット』はどうなった?」 「『グループ』が回収した。確か回収したのは土御門とか言う男だったと思うけど」 一方通行ではなかったのか、と垣根は思った。 「(なるほど、コソ泥がいたわけか。誰だか知らんが後で回収しとくか)」 「そういえばあなたは『ピンセット』の情報は見た?」 「あぁ。大した情報は無かったけどな。一つを除いてな」 雲川はその一つが何なのかを察し、こう釘を刺した。 「その件に関しては本当に知らないぞ。私だって普通の女子高生なんだ。いつも闇にいるお前らのように汚れていないんだけど」 よく言うぜ。と垣根は鼻で笑い、 「じゃあ本題に入るか」 不適な笑いを浮かべる少年と少女は更なる闇の世界へと潜り込んでいく。 9 「学園都市はコソコソと何をやっている?」 垣根は最も聞きたい事をストレートに聞いた。 「新たな『戦力』の増強だけど」 雲川もストレートに答える。 「『戦力』?何だ?遂に本格的に戦争でも始める気か?」 「いずれは…だけど。今は学園都市も『外』も内部状況が良くない。事実上、停戦状態だけど」 「まぁ学園都市はわかるが…何だ、『外』もゴタゴタやってるのか?」 「さっきもちょっと触れたけどイギリスでクーデターがあったらしい。ローマも教皇の謎の負傷で大混乱。どの陣営も敵地を攻め込めるような状況じゃないわけだけど」 「どこにでも反乱分子ってのはいるんだな」 垣根は口笛を吹きながら過去の自分を思い出し、笑う。 「だがそれだけじゃない。ロシアが不穏な動きを見せているみたいなんだけど」 「ロシア?」 「ロシアのある集団が『原石』と『残骸』を回収し始めたんだけど。」 「『原石』ねえ…。『残骸』はまだわかるが、何だってそんな特異体なんか集めてんだ?コレクションにでもする気か?」 「『原石』がこの戦争の行方を大きく変える…私はそう思っているんだけど?」 「仮にそうだとして、こっちには最高の『原石』がいるんだろ?二つか三つ持っていかれたくらいでどうにかなるもんでもないだろ」 雲川は背筋を伸ばし一拍置いてから答える。 「確かにここには削板軍覇がいる。即戦力として戦える力は充分にあると思うけど」 雲川はさらに一拍置いて、 「その削板が何者かによってやられている。殺されない程度にだけど。しかもアレイスターに『原石』への警告までしたもんだ」 「そいつはまた面白ぇ野郎だな」 垣根は感心したように言う。 「これが何を意味するかはわかるでしょ?『原石』を戦争に使わせまいとする連中もいるわけだけど」 「アレイスターの野郎が使わずにいられるわけがねえな」 垣根はあっけらかんと断言する。 「それに『原石』は本当に未知の存在でもあるわけだけど。削板を見ればわかるが、とにかく能力そのものが稀少で特異だ。出力すらも定かではない」 「そんな危険物を能力開発の素人集団に取られるわけにはいかねえ…そういう事か」 雲川は頬杖をつくと、 「もし、半覚醒で暴発した場合どれほどの暴走になるかわからない。仮に覚醒したとしてどれほどの能力が発現するかもわからない。学園都市にとってマイナスはあってもプラスはないわけだけど」 「だから全ての『原石』を学園都市に集めて、あわよくば新たなレベル5を作り出すって事だな」 「そこまで具体的な事はわからない。まぁ、あなたの推測が一番無難だとは思うけど。もっとも、そうなれば警告を無視するわけだから奴も黙ってないだろうけど」 「で、その回収状況はどうなのよ?」 「8割方は回収できてるみたいだけど。きちんとした数もわからないからきっちり全部ってわけにはいかないだろうがな」 雲川は右目にかかった前髪をカチューシャで掻き上げて、 「例え一つでも向こうに回収されればそれが命取りになる可能性がある。もし、それが『当たり』なら一方通行クラスの能力者が敵に回る可能性があるわけだけど」 「そうなったら『上』は大慌てだろうなぁ」 垣根は人事のように言うが、一方通行の本当の強さは自分が一番わかっている。義手をつけた右手がうずいたのがわかった。 「だから『上』はあなたを生かしたと思うんだけど」 「別に学園都市の為に戦う気なんかねえよ。俺は自分の敵以外は傷つけたくないタチなんでね」 垣根はそう言うと、聞きたい事は聞き終わったのか立ち上がるとそのまま踵を返した。 雲川はその背中に一言だけ告げる。 「そうそう、削板にもあなたのように『役割』があるわけなんだけど」 「あん?」 「まぁ、直にわかるさ」 雲川は薄く、薄く笑うと再び椅子を繋げて寝転んでしまう。 垣根は意味がわからなかったが、考えてもわからないとわかると食堂を去っていった。 「本当に、この学校はいろんな刺激に溢れてるな」 雲川は笑う。天使とも悪魔とも無邪気とも妖艶とも取れるような笑顔で。 行間 とあるアパートメントに一通の手紙が届いた。 差出人はとある里親の友人だった。 まずその手紙を見たボンヌドダームの女は我が目を疑った。そしてすぐさま同居人の青年に手紙を渡す。 手紙の内容は里親が何者かに殺害された事。そしてその里親の子供が何者かに連れ去られたという事。その何者かの目撃情報として機械の装甲を身に纏った集団がいた事。 青年は激昂した。 彼は学園都市に牽制の意味を込めた襲撃を行っている。それは『原石』の保護なら構わないが、彼らの生活を脅かす事をするのなら容赦なく叩き伏せるという事だった。 そして学園都市はその牽制を無視した。これは回収や保護といったものではない。 青年はあの少女に自分の手で幸福を手に入れてくれ、と言った。 そして少女はその幸福を手に入れるべく、あの里親と共に新たな人生を歩むはずだった。 青年の頭にアパートメントを出て行く時の少女の幸せそうな顔が浮かび上がる。 しかしその幸福はあっさりと奪われようとしている。いや、もう奪われているのかもしれない。 青年の眼がある一つの『モノ』に変わろうとしている。 もはや酌量の余地は無かった。 警告はした。その上で学園都市が『原石』を使い潰す覚悟があるのなら、彼らの自由を奪い取るというのなら、青年が取るべき行動は一つしかない。 青年の見た目に変化はない。しかし彼の周りにはこの世にあらざる空気が漂っている。何にも形容できないオーラがある。 「行ってくる」 青年は一言だけ告げるとアパートメントから出て行った。 ボンヌドダームの女は引き止める事はしなかった。いや、指一本動かす事すらできなかった。 世界中で一番彼の事を理解しているであろう彼女でさえ、今の青年の雰囲気は異常だった。 学園都市は開けてはならないパンドラの箱を開けてしまった。もう引き返す事はできない。 ボンヌドダームの女はかつてない戦慄を感じながら一つだけ、確信にも似た事を考えていた。 学園都市はこの世界から跡形もなく消滅する―――と。
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それは、暗夜に浮かぶ1つの光。 「俺を包むこの『暗黒時空』。これは何人たりとも防ぐことは叶わぬもの(という設定)」 それは、闇夜に浮かぶ1本の光線。 「だが、足りぬ。この力だけでは虐げられている者達を救うにはまだ遠い(という設定)」 それは、暗闇に浮かぶ幾つもの光線。 「故に俺は欲した。『暗黒時空』に匹敵する力を!そして・・・遂に手に入れた!(という設定)」 それは、漆黒に浮かぶ何人もの光。 「さぁ、その目に焼き付けよ!!俺の、いや、俺達の『閃天動地(ライトニングブレイク)』を!!(という設定)」 どこかからリズムの良い音楽が流れてくる。それに伴ってブレイクダンス(自称)をする光を纏う人間達。 「さすが啄先輩!!自分、頑張ったかいがありました!!」 「何を言う刺界!!お前の力が無ければこの『閃天動地』は完成しなかったのだ。大いに誇るがいい」 「ありがとうございます!!」 「いい後輩ができたな、鴉よぉ。こりゃあ、彼を十二人委員会に加えてやってもいいんじゃないか?」 「拙者もその意見に賛成だ!師匠、拙者からもお願い申し上げます」 「うむ。俺は一向に構わんぞ。どうだ、刺界?我が十二人委員会の一員としてその力を振るってみないか?」 「自分のような若輩者に何という有難きお言葉。もし許されるなら、自分、精一杯努めさせて頂きます!!」 「そうか!!よし、皆の者!!新たな仲間が我が十二人委員会へ加入した!!さあ、宴だ!!今日は力の続く限り踊りまくるぞ」 「「「おおおおお!!!!」」」 「・・・・・・何ですか、あれ」 「・・・・・・えーと」 「・・・・・・適当に見て見ぬ振りをしていればいいってね」 最近救済委員に加入した安田もとい春咲は、眼前で繰り広げられている意味不明な踊りについて先輩に助言を求めたが、 その先輩達―花多狩と農条―も何やら口をごもらせていた。 「あの黒いコートの方がさっきから言ってる十二人委員会って何ですか?」 「・・・・・・うーんと」 「・・・・・・適当に聞き流していればいいってね。妄想世界の住人の言葉は現実世界の俺達には意味不明ってね」 黒いコートを羽織る男―啄鴉―は何を隠そう妄想に生きる男である。彼にとって妄想が全て、妄想世界の原理が彼の行動原理である。 「『閃天動地』って何のことですか?」 「・・・・・・えー、あー」 「・・・・・・どうやら刺界が持ってきた電飾を仕込んだスーツのことらしい。イルミネーションダンスって言うらしいってね」 「花多狩さん。さっきから唸ってばかりですよ」 「・・・ごめんなさい、安田さん。この光景・・・私の理解力を超えているみたい」 「・・・確かに」 さっきから深夜という時間帯にも関わらず色んな電飾を光らせて踊りみたいな動作をしている啄、仲場、ゲコ太マスク、刺界もとい界刺の4人。 一般人が見たらまず間違いなく変質者と誤解される彼等の容貌や動作は、れっきとしたダンスの1形式である。 事の発端は、以前のファーストコンタクトの際に姿を見せなかった啄が2日前に現れたことだ。 その折に、啄と界刺が意気投合してしまったのである。両者が同じ光学系能力者であったことも関係あるかもしれない。 そして今日、界刺は電飾が仕込まれたスーツを持ってきたのである。彼のコレクションらしいそれは、一見すると奇妙な服であった。 しかし、啄はそれをいたく気に入り、彼の言う所の『暗黒時空』に代わる新能力を見出すために救済委員活動をほったらかしにして今に至るのだ。 ちなみに春咲と同じくガスマスクに覆われた界刺も顔には見せないが(見えない)どこか満足そうな雰囲気を醸し出していた。 「今日の救済委員活動、安田さんのデビュー戦だったのにこれじゃあ無理そうだわ」 「確かに。こいつ等をほったらかしにしてたら後々俺達にもしわ寄せがあるかも」 「・・・というか意外でした。私、てっきり救済委員って単独活動とばかり」 「昔はね。まあ、今も単独でやる奴はいるけど・・・。ようは効率重視ってね」 「それもあるけど・・・やっぱり誰しも1人というのは不安なのよね。だから、こうやって連帯するのかも」 「・・・そうですか」 「思う存分暴れられなくて不満?」 「いえ!そんなことは」 花多狩の少し意地悪な質問を否定する春咲。不満なんかあるわけない。本音では・・・ホッとしているのだ。だって自分は・・・。 『ふ~ん、そっか。多分だけど・・・死ぬよ、君?』 「(!!な、何をホッとしているのよ、私!こんなことでホッとしていたら、何のためにここにいるのかわからなくなるじゃない!!)」 ふと界刺が言った言葉を思い出し、心の中で活を入れる春咲。風紀委員の仲間達を欺いてまで救済委員に入ったのはどうしてか。 それは、自分の力を証明するためである。自分が強いことを証明するためである。 決して弱さを認めるためでは無い。決して他人を頼るためでは無い。決して。 「はい、コレ。あなたのケータイ」 「へっ!?」 「ボーっとしないの。これは連絡用のケータイよ。自前のケータイだと色々不都合でしょ? 言っておくけど、毎月の使用分はちゃんと払ってもらうわよ?」 「は、はい」 「これは落としちゃダメだからね。風紀委員や警備員に拾われたら面倒だから。それと・・・そいつ等に仲間の情報を売るのは絶対にダメよ。無いとは思うけど」 「そうそう。アシが付くのは勘弁ってね」 「・・・わかりました」 花多狩の忠告を受け、春咲は再び思考に身を委ねる。何故なら自分は現役の風紀委員なのだから。 もちろん、売ったりなんかするつもりは無い。他ならぬ自分のために。 『だからさ、君の仲間へチクるのもやめとくよ』 「(私は・・・あの時どう思ったんだろう?支部の仲間に知られなくてホッとしたのかな?それとも・・・)」 そして思い出す。界刺のあの言葉を。 自分の仲間にバラすと言い、バラすのをやめたと言い、何故か自分と同じく救済委員に入った目の前の男が放った言葉を。 「(知られて・・・殴られて・・・説得されて・・・止めて欲しかったのかな?)」 continue!!